最適解は手前奥ではなく「上下」。DTMデスクにはキーボードスライダーがあるべき理由

目次

対象読者

  • デスクに後付けキーボードスライダーを検討している人
  • MIDIキーボードと文字キーボードの配置に悩んでいる人

この記事からわかること

  • DTMデスクでキーボードスライダーを使うメリット
  • 筆者が実際に使っている後付けキーボードスライダーの製品情報、レイアウト例
この記事を書いた人

奈沼 蓮

作編曲家、サウンドエンジニア(サウンドデザイン、ミックス、マスタリング、PA)

ヘルニアになって制作に集中できなくなった先輩方を見てきたので、デスク環境と筋トレへの関心が高い。

キーボードスライダーをデスクに追加した理由

Image by Arek Socha from Pixabay

DTMerの中ではたまに話題に登るものに「キーボードの配置」があります。
基本的には

  • 「文字キーボードが手前でMIDIキーボードは奥」派
  • 「文字キーボードは奥でMIDIキーボードが手前」派

がいて、それぞれのメリットを主張し比較し合います。

しかし基本的に奥側になってしまった方が操作性はぐんと悪くなります。
詰まるところ「各自がより快適に使いたい方を手前にするしかないんじゃないか」という結論に至ります。
私はDTMをするときのMIDIキーボードの弾きやすさも、こうしてブログを書くときの文字キーボードの打ちやすさも、できる限り犠牲にしたくありませんでした。

そこで考えたのは「前後ではなく上下で配置したらどちらもそれなりに快適では?」ということです。
そこで後付けキーボードスライダーを追加しました。
結果としてしっくりくる環境を得られました。

理想的な姿勢で弾く&理想的な姿勢で打つは奥行きでは両立しない

理想的なMIDIキーボードの高さ

MIDIキーボードやピアノのような鍵盤は長い歴史の中で理想的な姿勢が研究され、楽器の造りは洗練されています。
設計上想定された姿勢で利用した方が疲れにくく、上達も早くなります。

楽器メーカーのYAMAHAによれば、ピアノの鍵盤(白鍵)の高さは床から73 ~ 75cmです。

参照元 : YAMAHA よくあるお問合せ
https://yamaha.custhelp.com/app/answers/detail/a_id/1756

この高さに設定できれば、あとは椅子の調節で理想的な姿勢を取ることができます。

理想的な文字キーボードの高さ

一方で文字キーボードでも疲れにくい姿勢は研究されています。
デスクワーク時に疲れにくいデスク環境をPCメーカーの富士通が紹介しています。

参照元 : 富士通株式会社 パソコンを使うときの姿勢
https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/design/ud/vdt/index-page3.html

図の出典 : 富士通株式会社

これによると文字キーボードの高さは床から60 ~ 72cmであれば理想的な姿勢を取ることができそうです。

2つの理想を実現する解は、手前奥ではなく「上下」

デスクの天板1枚の上に文字キーボードとMIDIキーボードを設置するとどちらかを奥に置くことになります。
しかしそうすると奥に置いた方の操作時に「肘が前に出る」ことになり、肩に負担がかかります。
そのため肘を前に出さなくても2つを快適に操作するために
「MIDIキーボードを上(床上74cm前後)、文字キーボードを下(床上60 ~ 72cmの範囲)に設置する」
のが理想です。

そのためにデスクの天板1枚では足りなくなるので、キーボードスライダーが必要になります。

実践した筆者の現在のデスク環境解説

筆者はProStyle KWD-100というDTM向けのスタジオデスクを使っていて、実はキーボードスライダーはひとつ既に着いています。

心憎いことにこのデスクはキーボードスライダーの上にMIDIキーボードを置くと、ちょうどピアノの白鍵の高さと同じ(73 ~ 75cm)になる優れものです。
さすがDTM向けに設計されているだけのことはあります。

しかしキーボードスライダーより低い位置には文字キーボードを置くスペースがないです。
天板は床上84cmと高めです。文字キーボードを置くには高すぎます。
(モニター画面を置くにはちょうどいい高さなので、多分そういう設計です)

そのため後付けキーボードスライダーを購入して追加しました。
いろいろ比較検討して、購入を決めたのはバウヒュッテの後付けキーボードスライダーです。
デスクに合わせて色はホワイト。

筆者のデスクレイアウト

MIDIキーボードが置いてあるのが初期装備のキーボードスライダーで、文字キーボードが置いてあるのが後付けしたキーボードスライダーです。

記事執筆時の筆者のデスクの様子。ちょっと掃除した。

個人的には快適でしたが、記事作成にあたり、各キーボードの高さを測定してみました。

  • MIDIキーボード 床上高さ 73cm (理想値 : 73 ~75cm) → 最高!
  • 文字キーボード 床上高さ 58cm (理想値 : 60 ~ 72cm) → 惜しい。

文字キーボードが理想値より2cm低い結果となりました。
しかしこれはこれで許容範囲というか、仮に2cm高くしたら今度はマウスを使うときに手がMIDIキーボード板の天板に当たってしまいます。
なので私のデスクではこれが最善の高さといっても良いと思っています。

後付けキーボードスライダー導入後の実感

かつて文字キーボードをデスク天板(床上 84cm)において操作していた時と比べると、肩と二の腕の疲労度がかなり減りました。
腕をあまり前に出さなくて良くなったので、猫背傾向も解消されました。
正直もっと早く導入しておけばよかったです。

これはたまたまですが、後付けしたキーボードスライダーが文字キーボード両端にパームレスト付きマウスパッドを置くとジャストサイズでした。
ちょっと気分がいいですね。

まとめ : MIDIキーボードより文字キーボードは「低く」設置すべし

Photo by Ryan Tauss on Unsplash

今回の記事ではDTMデスクにおけるキーボード配置問題に対し、ひとつの結論を出しました。
それは

キーボードスライダーを活用することによって、MIDIキーボードを床上73 cm、文字キーボードをその下の床上60cm前後に配置する

というものです。

従来の「キーボードを手前に置く/奥に置く」という選択に対し、

  • 2つのキーボードどちらも操作性を犠牲にしない
  • 理想的な姿勢を取ることができるので疲労感軽減、猫背防止になる

という利点があります。

デメリットとしてはキーボードスライダー分のコストがかかるところです。
筆者はそこそこしっかりした造りのものの方が安心できるので、1万円クラスのものを買いました。

今回の記事は以上です。
お役に立てれば幸いです。

製品紹介

バウヒュッテ 後付けキーボードスライダー BHP-K70-WH

今回の主役の後付けキーボードスライダーです。
クランプ式で机に穴を開けることなく、楽に取り付けできます。
奥行き40 ~ 70cmの机天板なら取り付け可能です。
しかも8kgまで乗せることができます。
がたつきも無くスライドもスムーズです。
他製品と比べるとやや高級な部類ですが、質は良い気がするので妥当かと思います。

ProStyle KWD-100WH DTM専用デスク

今回後付けキーボードスライダーを設置する土台となったDTMデスクです。
足の構造的にしょうがないのか、やや横揺れはします。
購入時に店員さんから聞いた情報によると、設計は楽器店では無く本職の家具屋さんがやっているそうです。
4年くらい使っていますがサビや塗装の剥がれもないです。

  • ラックマウントがある
  • 初期装備のキーボードスライダーにMIDIキーボードを置くと、ちょうどピアノと同じ高さになる

という点でDTM向けに工夫されています。

こういったスタジオデスクは高価のものが多いですが、これは税込49500円です。(記事更新時2021年8月)

エレコム マウスパッド FITTIO High MP-116BK

パームレスト付きのマウスパッドです。
パームレスト部分のクッションにゲルが採用されていて程よい弾力があり気持ちいです。
私は1回買って使って気に入ったので、左手デバイス分も含めて今は2こ持っています。

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