【ミキシングTips】エレアコのライン録音の音が不自然な理由と解決方法

目次

はじめに

対象読者

  • DTMでエレアコの音をライン録音しているが、なぜか不自然な音になってしまう
  • エレアコの録り音を弾き語りライブとかで聴くような音にしたい

この記事からわかること

  • エレアコをライン録音した音を「自然な感じ」にする方法とその理由
筆者紹介
奈沼蓮アイコン画像

奈沼 蓮

DTMer
音楽ライブPAエンジニア

新型ウイルスの影響もあり、「ライブがしにくい期間は音源製作だ!」という感じでレコーディングをするギター弾き語りのアーティストが増えている。しかし話を聞くとこの問題にぶつかっている人が多いので解決して差し上げたく、記事を書いている。

急いでる人向け結論:「スピーカーシュミレーター」と「ルームリバーブ」

解説はいいから結論だけ知りたい!という人向けに端的に解決方法をまとめます。

通常通りエレアコをライン録音する→録音した音にスピーカーシュミレーターをかける→ルームリバーブをかける

スピーカーシュミレーターはDAWに付属していることがあまりないので、持ってない人は購入する必要があります。
スピーカーシュミレーターのおすすめはAudioThingの「Speakers」です。Windows/Mac両対応でM1macも対応済み。

ルームリバーブはDAW付属のものでもそれなりに良い仕事をしてくれます。
敢えてこの機会に良いリバーブを買っときたいという場合はiZotopeの「Neoverb」がおすすめです。
公式が2週間無料トライアル版も出しているので、気になったら取りあえず試してみるものアリです。

この先はもっとちゃんと理解しておきたい人向けの詳しい解説です。
知っていると応用も効くようになります。

エレアコのライン録音が不自然な音になるのは普通のこと

「エレアコをライン録音してみたら不自然な音にしかならない!レコーディングって難しいな!」

こんな感じに壁にぶち当たってしまって、「どうすれば上手くレコーディングできるか?」を相談されることがたまにあります。
しかしこれは誤解です。

エレアコの音が「自然」に変わるのは「ミキシング」段階の処理

ギターの演奏能力が十分にあったとしても、エレアコのライン録音は大体の場合「不自然な音」になります。
これはレコーディング手法に問題があるのではなく、「そもそもレコーディング技術では解決できない問題」です。
つまり「不自然な音」になっていたとしてもレコーディング自体は「成功」している場合がほとんどです。

厳密には「ライン録音と並行してコンデンサマイクからも録音する(ミキシング段階でそれらの音の良いとこ取りができるよう混ぜる)」というレコーディング手法による解決法もあります。
しかしプロのスタジオでない環境でのコンデンサマイクの利用は、ノイズや部屋の反響のリスクがあり困難なのでここでは紹介しません。

実は「ミキシング」の段階でこの問題は解決できます。

解決の鍵は「スピーカー」と「リバーブ」

Photo by Scott Major on Unsplash

では「ミキシングの段階で何をすれば良いのか?」というと

エレアコをライン録音したトラックに「スピーカーシュミレーター」と「(ルーム)リバーブ」をかける

という処理をします。

なぜこれで改善するのか?→「空気に触れていない音」の不自然さが消えたから

「スピーカーシュミレーター」と「リバーブ」を使うことで解決することはわかったものの、「なぜそうすることで解決するのか?」が気になると思います。

実は解決の本質は「スピーカーシュミレーター」の力です。
リバーブもそれなりに重要ですが、今回の本筋からするとオマケ程度というか、ミキシングではほぼ必須エフェクトなので「言われなくても基本的にかける」ものです。

「ライン録音した音」にはどうしても「独特の不自然さ」があります。
エレアコだけでなくキーボード、ベースギターなども同様です。
その最たるものがエレキギターですが、エレキギターのライン録音には「アンプシュミレーター」をかけることが常識というか当然のことになっているのであまり問題にはなりません。
ちなみにですが、ギターアンプの音響的構造は「プリアンプ+パワーアンプ+スピーカー」なのでスピーカーもシュミレートされています。

この「独特の不自然さ」の原因は「音が空気に触れていない不自然さを耳が感じ取ってしまうから」が大きいです。
このことから筆者はライン録音後に適切に処理されていない不自然な音に対し、「空気に触れていない音」という表現を使います。

エレアコで弾き語りのライブをしたことがある人なら「会場のスピーカーから出てくるエレアコの音」を聴いて、「どんな工夫をしたらこんな自然な音になるんだろう?」と考えるかもしれません。実は基本的には「ただスピーカーから出すだけ」で自然な音になります。それはスピーカーから音が出ることによって「空気に触れるから」です。

スピーカーから出たような「空気に触れた自然な音」にしてくれるのに一役買うのが「スピーカーシュミレーター」というわけです。
スピーカーをシュミレート(模倣)しているので当然といえば当然です。

スピーカーシュミレーターの中でもAudioThingの「Speakers」がおすすめの理由

スピーカーシュミレーターはDAWプラグインとしてはややマイナーな分野です。
そんなに多くの製品が各社から出ているわけではありません。

なので選択肢はもともとさほど多くないですが、それらの中でAudioThingの「Speakers」は「ミキシングのことをわかってる!」って感じのことをしてくれるのでおすすめできます。

選択できるスピーカー種類に「普通の音響スピーカー」がある

この手のスピーカーシュミレーターは主に「Lo-Fi感」の演出に使われることが多いので、逆に「普通のスピーカー」のシュミレートが無かったりします。
つまりラジオやテープレコーダーやトランシーバーから聴こえる音に変えてくれるものは多いですが、この記事で求められている「あまり劣化することなく適度な空気感を与えてくれる普通の音響用スピーカー」が無いということです。

その点で「Speakers」にはちゃんと「音響用のスピーカー」のシュミレートがあります。しかも複数。
筆者が一通り試してみたところ、「Speaker(oval)」が一番いい感じです。

speakersでovalを呼び出した画像


「Speaker(oval)」ではレンジ(周波数帯)が広すぎると感じる場合は「Speaker(cube)」や「Speaker(medium)」を試すこともできます。

まとめ: 録り音が不自然でもスピーカーシュミレーターで解決!

今回の記事では「エレアコのライン録音を自然な音にする方法」について解説しました。

要点をまとめると

  • ライン録音した音が不自然になるのは当たり前のこと。レコーディングの問題ではない。
  • 不自然さの原因は「空気に触れていない音」だと無意識にわかってしまうから
  • 解決には「スピーカーシュミレーター」が最適。あとは適度にリバーブかければ自然に仕上がる!

今回の記事は以上です!
お役に立てれば幸いです。

付録: 登場製品まとめ

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