【ギタリストから40年愛されたリバーブ】Eventide「Blackhole」レビュー

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目次

はじめに

対象読者

  • Eventide「Blackhole」の購入を検討している
  • DTMでギターにかけるリバーブを探している
  • 「Blackhole」がどんなリバーブプラグインなのか知りたい

この記事からわかること

  • 「Blackhole」は他のリバーブプラグインとどこが違うのか
  • Blackholeをかけた音、かける前の音
  • おすすめの使い方
  • お得な購入方法
筆者紹介
奈沼蓮アイコン画像

奈沼 蓮

DTMer、サウンドエンジニア

オーディオエフェクトの中でリバーブが一番好き。

Eventide「Blackhole」はどんなリバーブなのか?

基本情報と製品コンセプト

BlackholeはアメリカのオーディオエフェクトメーカーEventideが開発したリバーブプラグインです。

Blackholeの名から想像されるように「銀河系規模のアルゴリズミックリバーブ」をコンセプトにしています。

もともと同社の「DSP4000」というマルチエフェクト内のプリセットのひとつに過ぎなかったものでした。
しかしそのプリセットがギタリストから好評で単体プラグインの開発に至り、「Blackhole」が誕生します。
なんと現在では実機のギターペダルエフェクターとしても製品化されています。凄まじい人気。

初期のプリセット時代からなんと40年もギタリストから支持を受け続けるリバーブ
それがBlackholeです。

親切な公式サウンドデモ

Eventide公式がBlackholeのサウンドデモを公表しています。
親切にもBlackholeをかける前(いわゆるDryの状態)も載せているので、自分で使った場合のイメージがつきやすいです。

他のリバーブとの差別化点

Blackholeは決して汎用性の高いリバーブではなく、明確な差別化を図っている製品です。

  • 大胆で非現実的な空間表現
  • ギタリストにとって操作が分かりやすいデザイン
  • ライブパフォーマンス中などにも設定を柔軟に変化できる工夫

レビューでは各点について詳しく見ていきます。

Blackhole使用感レビュー

非現実的な残響表現に全振りした性能

多くのリバーブプラグインは「現実に存在する自然な残響を再現する」ことに重きを置いています。
しかしBlackholeは真逆です。
むしろアルゴリズミックリバーブの自由度を活かして「非現実的な残響音を提供する」ことに注力されています。

それがわかる最大の特徴が「GRAVITY」のツマミです。
通常のリバーブでいう「Decay」や「Reverb Time」にあたり、数値を大きくするほど残響が長くなります。
ただBlackholeのGRAVITYにはなんと「マイナスの値」があります。
GRAVITYをマイナスの値にすると「その値分だけ残響成分がリバース」します。

残響成分のリバースは明らかに非現実的な残響表現です。

他にも入力信号を一時的に完全に切断する「KILL」、残響成分を氷つかせたように保持する「FREEZE」といった非現実寄りの残響表現がしやすいデザインです。

音作り(サウンドデザイン)向け。ミキシング用のリバーブではない。

付属の全プリセットを確認した映像を載せました。
各プリセット名称に注意してさらっと見てみてください。

Blackholeプリセット一覧
Blackholeプリセット一覧

ミキシングをやる方なら気づいたと思いますが「Room」、「Chamber」、「Hall」、「Plate」といったミックスの基本となる空間の名前を持ったプリセットがほぼありません。
このことからBlackholeはミキシングで使うリバーブではなく、「音作り(サウンドデザイン)で使うリバーブ」であると分かります。

もともとギターにかけるリバーブエフェクトとして評価が高かった製品なので、それ用に使うのが一番相性良さそうです。
宇宙的な壮大さと馴染みが良いからか、KickやSnareといったドラムキットや、Horn、Pianoのプリセットも見受けられます。

使い勝手はシンプル。けど複雑にも動かせる。

やはりギタリスト狙いでデザインされているのか、ツマミを含めた全体の見た目はギターエフェクター寄りになっています。
設定に関係する部分が集約されていて、説明書を読まなくてもツマミをいじりながらギターを弾けば「どんな風に音が変わるのか」が分かります。

しかもシンプルなだけでなく、DAWプラグインとしての柔軟性も持っています。
ひとつがBlackhole中央下の「HOTSWITCH」を使った自動で設定を変化させる機能です。

hotswitchの使い方と使用例
HOTSWITCHの使い方と使用例

ふたつ目が「Ribbon Controller」です。
こちらはHOTSWITCHと異なり、「連続的に」設定を変化させることができます。

ribbon controllerの使用方法と使用例
ribbon controllerの使用方法と使用例

上の動画ではDAWのオートメーションをRibbon Controllerにアサインし、波のような変化を自動化しました。

音の印象は良く言えば80年代SF的。悪く言えば金属的。

古いアルゴリズミックリバーブは技術的な限界もあり、自然な残響よりやや金属的な音がします。
40年の歴史あるBlackholeもその例に漏れず、現代的なリバーブより金属的な音がします。

逆に「80年代らしさを感じさせる懐かしい音」とか、「銀河の煌めきや宇宙船の無機質さを思わせる音」を狙うのであれば最高のチョイスとなります。

おすすめの購入方法 : Plugin Boutiqueでセール時を狙う

Photo by Pixabay

現在Blackholeを購入できるのはEventide公式サイトと海外プラグイン販売代理店のPlugin Boutiqueの2カ所です。

【落とし穴】公式サイト側が安く「見える」ワケ

本体の値段を比較すると、公式サイトの方が2ドル前後安く見えます。
しかし会計を進めていくとそれは単に「日本の消費税分を含めていなかったから」なだけです。
元はアメリカのサイトなので当然ではあります。
最終精算ではTax(税金)が加わってPlugin Boutique側の値段とほぼ一致します。

Plugin Boutiqueなら安心の税込表示&キャッシュバックあり

一方でPlugin Boutiqueは最初から税込表示(Inc TAX)です。
しかも次回買い物で使えるVirtual Cashが1.2ポンド分(日本円でおよそ200円分)帰ってきます。

以上から「ちょっとでも安く買いたい」という場合はPlugin Boutiqueから買いましょう。

筆者もサウンドハウスなどの国内販売店で買えない海外のプラグインはPlugin Boutiqueで買っています。

まとめ

今回の記事ではEventideのDAWプラグインリバーブ「Blackhole」のレビューをしました。

重要なところを振り返ると

  • 「銀河系規模のアルゴリズミックリバーブ」。自然ではなく、超常現象感。
  • ギタリストに40年間も好評で実機エフェクターまで開発された
  • ギターエフェクターに寄せた直感的なデザイン。説明書ほぼ不要。
  • 楽器の音作り向き。ミキシングには不向き。
  • 音の印象は良くも悪くも「80年代SF」
  • 安く購入したいならPlugin Boutique

こんな感じでした。

今回の記事は以上です。
お役に立てれば幸いです。

付録 : 登場製品まとめ

おまけ : ミックスで使うリバーブを探している人へ

Blackholeのようなリバーブではなく、ミキシングで使うリバーブが欲しい!という場合はBABY Audio 「Crystalline」がおすすめです。筆者が今のところ行き着いた「一番良いリバーブ」です。実際に自分のミックスでも使っています。

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