対象読者
- 小型キーボードの購入を検討している
- CASIO SA-46を実際使用したレビューを探している
- CASIO SA-46はトランスポーズができないから買うのをやめようと思っている
- 「ソルフェージュを習っている」などで聴音の練習をする習慣がある、もしくは練習習慣をつけたい
- 眠れない夜に「いいメロディーが降りてきた!」みたいなことがあるので音の確認用に枕元に小さいキーボードが欲しい
今回は小型キーボードCASIO SA-46のレビュー&活用方法解説です。
値段やデザインから子供向けのおもちゃのような感じもします。
しかしそのポテンシャルは高く、大人でそれも音楽に携わっている人でも持っていると便利な逸品です。
プロのレコーディングスタジオで見かけたこともあります。(おそらく打ち合わせ時の音確認用)
この記事からわかること
SA-46の向き不向き、できることとできないこと
トランスポーズ機能のないはずのSA-46で音域を拡張する方法
SA-46の特徴
ミニ鍵32鍵
鍵盤は32鍵でF2 ~C5の約2オクターブ半の音域を持ちます。
これは声変わり前のお子様を想定した音域選択のような気がします。
まともなキーボードによくあるトランスポーズ機能は無いです。
しかしある機能を使うとほぼフル鍵盤レベル(F0 ~ C7)に音域を拡張できます。
それについては活用法の項目で紹介します。
鍵ひとつひとつは通常のピアノの鍵盤より縦幅横幅ともに小さいミニ鍵です。
サイズが明確に違うのでピアノの本格的な練習には向きません。
そもそも32鍵しかない時点でピアノの練習には向きません。
逆に音の確認の面では手が小さい人でもオクターブを超える音程が片手で押さえやすいです。
私は通常鍵盤では片手で1オクターブ(完全8度)が限界ですが、SA-46なら長10度(例えばC3 ~ E4)までいけます。
ポータブルなサイズと軽さ
サイズは公式サイトによると幅446mm×奥行208mm×高さ51mmです。
高さは置いとくと、比較対象としてA4サイズ紙の横置が幅297mm×奥行210mmです。
つまりA4サイズ紙を1枚半横に並べる程度のサイズと考えると感覚的にわかりやすいです。
質量(重さ)は公式サイトによると1.0kg。
携帯性を考えられておりだいぶ軽いです。
スピーカー搭載、ヘッドホン端子あり
0.5Wのスピーカーが2基内蔵されています。
個人練習なら十分な出力です。
私はボリューム半分くらいでいつも使っています。
音質は良くも悪くもLo-Fi(おもちゃレベル)なので期待しないでください。
ヘッドホン端子(ステレオミニジャック)があるので、イヤホンやヘッドホンがあれば周りへの迷惑が気になる夜中でも音の確認ができます。
あまり使い所はないかもしれませんが、この端子を使えばギターアンプなど大きなスピーカーも鳴らすことができます。
電池でもACアダプター(別売)でも動く
単3電池6本で動作します。
取扱説明書によるとアルカリ、マンガンのみでオキシライドは絶対に使用しないでくださいとのことです。
私はエネループ6本で使っています。4年くらい使っていますが今のところなにも不具合はありません。
電池ではなくACアダプターも対応していますが別売りです。税込¥2750。地味に高い。
携帯性が売りの製品でもあるので、エネループ6本で利用するのが安くてコンセント依存もないのでおすすめです。
100種類の音色
100種類の音色が搭載されています。
音質はどれも良いとは言えませんが、ちょっとした総合音源くらいのレパートリーです。
分類としてはピアノ、オルガン、ギター、ベース、ストリングス(なぜかクワイアもここに入ってる)、金管、木管、シンセサイザー、民族楽器、パーカッション(その他効果音も含む)です。
音楽のジャンルが偏っていないので、やろうと思えばクラシックもロックバンドもジャズもEDMもヒップホップもいけます。
(音がそんなに良くないので奇をてらったりするのでなければ、やろうと思う人はまずいないと思います。)
勘のいい人は気づいたかもしれませんが、この音色変更を使うことで32鍵から音域を拡張できます。
次の項で詳しく解説します。
トランスポーズ無しでの音域拡張方法
この項がこの記事の目玉であり、私が最も共有したい情報です。
SA-46にはトランスポーズ機能はありません。
しかし実は「楽器の音色を変更する」ことで低音から高音まで出すことができます。
ちなみにスイッチをつけたばかりのデフォルトの音色(00 グランドピアノ)の音域はF2 ~ C5です。
ところがベースの音色、例えば「28 アコースティックベース」にすると音域がF0 ~ C3になります。
一方で「62 ピッコロ」の音色にすると、今度は音域が上に移動し、F4 ~ C7(88鍵のピアノで一番高い音)になります。
図解するとピアノの88鍵のうち、低音側の8鍵を除く80鍵分の音域が出せることがわかります。
物理的には32鍵しか装備していませんが、出せる音域は実はここまで広いです。
SA-46に向いていること / 向いていないこと
向いていること
ピッチの確認(合唱練習やソルフェージュの視唱・聴音練習)
SA-46は音色はチープですがピッチはかなり正確です。しかも音域が広い。
なのでピッチを確認したい時に向いています。
大学時代、合唱部の部長がSA-46を持ち歩いていました。
合唱では文化的にはピッチの確認に音叉やピッチパイプを使う習慣がありますが、演奏会などではないラフな練習ではより正確な確認ができる小型キーボードが向いているのだと思います。
最大8音まで同時に鳴らせるのでハーモニーの確認にも使えます。
公式ページにも「コーラスなどの音取りや学校教育でも活躍。」とあるのでメインの活用法のひとつです。
私は合唱目的ではなくソルフェージュの練習用に購入しました。
視唱課題の練習でイメージした旋律が正しいのかの確認や、聴音の練習の際の耳のチューニングに使っています。
気軽な作曲・楽曲分析環境の機能のひとつとして
作編曲家、DTMerであれば
「目が覚めたらいいメロディーが降りてきた!」
「寝れないから曲を聴いていたらいい曲があったからコードを分析したい」
みたいなことがあると思います。
しかしそんな時、デスクやキーボードの前まで移動するのは今まで寝ていた体としては億劫です。
後ででいいやなんて思っていると思いついたメロディーを忘れたり、せっかくの上達の機会を逃したりします。
そのため私は普段枕元にSA-46を置いています。
そうすればすぐに横になったままメロディーの記録も楽曲分析もできます。(メロディーはiPhoneとかのボイスメモで録音しておきます)
SA-46でなくてもスマホのアプリ、例えばGarage Bandとかでもいいのでは?と思いますが、スマホ画面の鍵盤だとどうしても弾きにくいです。
各鍵の判定も狭いし、音域も狭いし、眠かったりするとミスタッチが起きやすくて物理的な鍵盤の方がずっとストレスフリーです。
向いていないこと
ピアノの練習
一応ピアノ鍵盤の形をしているとはいえ、ピアノの練習には向きません。
ミニ鍵盤なので鍵盤の間隔が本物のピアノの時と違ってしまいます。
確認できる音域は広いにしても、音色変更できない状態では32音しかないのでピアノの曲を弾くには狭すぎます。
しかもキーボードのバネが緩いので連打に向いてません。(本物のピアノの鍵は重いが戻ってくるのが速いので連打できる)
まだ手が小さい子供がピアノや音楽そのものに慣れる導入としては優秀だと思います。
というかメインターゲットのひとつはそこだと思います。
音楽ライブの演奏や楽曲制作などの「良い音」を求められる場面
ピッチは正確とはいえ、音色は良い音とは言えないので演奏目的では向きません。
100種類の音色は実際の楽器の音を収録したものではなく、シンセサイザーによってその楽器っぽく再現したものです。
私は「66」の音色がほとんどサイン波なので聴音やメロディー記録でよく使っています。
この期になんの楽器の音色とされているのか、説明書で確認すると「66 ホイッスル」と書いてあって「さすがに無理があるだろ」と思いました。
またMIDI出力端子は装備していない(MIDIキーボードとしては機能しない)です。
そのため「物理的な鍵盤だけ使って音はパソコンの高級ソフトウェア音源から出す」みたいなこともできません。
まとめ : 補助的な利用ならパワフルな小型キーボード
今回の記事ではCASIOの小型キーボード「SA-46」の紹介やレビュー、おすすめの使い方を解説しました。
製品の性能や設計は学校教育や児童玩具向けになっている
小さい、軽い、コンセント不要、ヘッドホン端子ありで携帯性能は高い
トランスポーズはできないが、音色の変更によってフル鍵盤のピアノに近い音域を出せる
ピッチやハーモニーの確認には優秀で、ソルフェージュや合唱の練習、作曲の補助には適している
ピアノの練習やライブ演奏は不適
MIDIキーボードではない
記事執筆時点(2021年4月)ではサウンドハウスで税込3700円です。(公式のメーカー希望小売価格は税込6050円で高い)
私は作曲補助とソルフェージュ練習目的で購入しましたが、十分価値があると思います。
今現在も使っていて4年くらいになります。
学校教育利用のために耐久性高めなのかもしれません。
今回の記事は以上です。
お役に立てれば幸いです。
紹介製品情報
CASIO SA-46
私は電池にエネループを使っています。充電できて繰り返し使えるのでおすすめです。
パナソニック エネループ
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