【Black Friday Sale】「はじめてのiZotopeセット」はDTM初心者にはオススメできない理由(代案 : MPS 4.1が長期的に高コスパ)

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はじめに

対象読者

  • 今回のBlack Friday SaleでiZotope「はじめてのiZotopeセット(英語名 : Holiday Bundle Edition)」の購入を検討している人
  • 上記のうち特にDTM用マシン(PC/Mac)の性能がそんなに高くない人(目安としてCPU 4コア、メモリ16GB未満の人)
  • ミックスやマスタリングは今は初心者だが、今後iZotope製品を駆使して本気で取り組んでいきたいと思っている人

この記事からわかること

  • iZotope製品を3年半くらいミックスのメインプラグインとして使ってきた筆者が伝えたい製品の良さ
  • iZotope「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)がDTM初心者にはオススメできない理由
  • 代わりにiZotope「Music Production Suite 4.1(こちらも大幅セール中)」の購入をオススメする理由
筆者紹介
奈沼蓮アイコン画像

奈沼 蓮

作編曲、サウンドエンジニア(ミキシング、マスタリング、ライブハウスPA)

3年前に「ミキシングやマスタリングはめんどくさそうだからiZotopeを使って楽しよう!」と思ってiZotopeをメインのプラグインに選んだ。
しかし実際やってみたらミキシングやマスタリングの奥深さにハマり、作編曲よりもエンジニアリング系の仕事がメインになってしまった人。
特にリバーブにこだわる。

所持iZotope製品 : MPS 4.1, Break Tweaker, Iris 2

プラグインは購入店舗により同じ商品でも値段が変わることがあります。
主にメーカー直販、国内代理店、海外代理店がありそれぞれサービスや対応キャンペーンの違い、為替の影響によって値段が変わっていきます。
記事内の製品価格は執筆時のものであり、今後変わっていく可能性があります。

プラグインの「セット」のことは基本的に「バンドル」と呼ぶのが一般的ですが、記事読者にDTM初心者を想定しており、わかりやすさのため敢えて「セット」という言葉を使っています。

「はじめてのiZotopeセット(英語名 : Holiday Bundle Edition)」とは?

「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」は人気プラグインメーカー「iZotope」がブラックフライデーセール(2021年12月6日まで開催)の目玉商品として販売しているプラグインのバンドル(セット商品)です。

セットは3種類あり、いわゆる松竹梅スタイルで最上位の「Pro Max(Diamond)」、中位の「Pro(Platinum)」、最もお手頃な「無印(Gold)」となっています。セット中身の比較は次の表の通りです。

引用 : https://www.izotope.jp/news/izotopeblackfriday2021/

最大のウリは「通常定価で買い揃えた場合より93 ~ 96%も安い!」という点です。
通常購入だと26万円前後の製品セットが1万8000円くらいで買えます。(購入店舗で為替の変動あり)

セット内容も不人気な製品の詰め合わせではなく、マスタリングのOzone、ミキシングのNeutron、ノイズ除去のRX、最近発売された複合リバーブのNeoverbなど人気と定評がある製品も含まれています。

「圧倒的なパワーを、衝撃的な価格で。」の売り文句の通り、非常にコスパのいいセットであることは間違いありません。

ここまでの情報だと「ミキシング/マスタリング初心者向けの良心的なセット」に見えます。
セット名に「はじめての」とか付いてるので初心者狙ってる感あります。

ところが詳しいことを知らずにこのセットを購入した場合、少し後悔してしまうパターンがあります。
判断材料として知っておくべきことを解説します。

ここまでのポイント!

「はじめてのiZotopeセット」はどれも超高コスパだが、後悔しないために購入前に知っておくべきポイントがある!

知っておかないと後悔する要素2つ

Ozone, Neutronは「Standard以下のエディション」では個別モジュールをプラグインとして使えない

今回のセットにも含まれているiZotopeの主力製品Ozone, Neutronですが、ここにちょっとした落とし穴があります。
さっきの表を見てわかる通り、セットに含まれるのは最上位のPro Maxを買ってもOzone9 Standard、Neutron3 Standardです。

まだiZotope製品に手を出したことがない人は知らないかもしれませんが、OzoneとNeutronはそれぞれマスタリング向けエフェクトの集合体プラグイン、ミキシング向けエフェクトの集合体プラグインです。

  • Ozone : マスタリング向けエフェクト集合体(マキシマイザ+イメージャー+エキサイター+ダイナミックEQなど)
  • Neutron : ミキシング向けエフェクト集合体(EQ+コンプレッサー+ゲート+トランジェントシェイパーなど)

この「集合体」というのがミソで、集合体であるゆえにそれなりにCPU負荷が高いです。いわゆる「重いプラグイン」です。
かなり性能の高いPC/Macを使っているなら問題ありません。
しかしDTM初心者の多くはそうではなく、性能の高いPCを使っているわけではないでしょう。

では「OzoneやNeutronはハイパワーPCユーザー向けのプラグインなのか?」というとそうではありません。
Ozone, Neutron共に最上位エディションの「Advanced」のみ、各エフェクトモジュールが「Available as a plugin」
つまり「集合体ではなく個別のエフェクト」として使えます。

当然CPU負荷は軽くて済みます。

奈沼のつぶやき

昔DTM初心者だった自分は「自分のレベルに合わせてグレードアップしていけばいいかな」と考え、OzoneもNeutronも「Standard」から始めてしまった結果、同時のDTM用Macでは重くて満足に動きませんでした。orz
結局Standard→Advancedのアップグレードをしましたが、新規購入で最初からAdvancedを買うよりトータルで高くついてしまいました。

このことは公式サイトのOzoneまたはNeutronの製品ページで各エディションの「機能を比較する」から確認できます。
日本語公式サイトでもこの表だけ英語なのはつまり…(以下略)。

画像引用元 : https://www.izotope.jp/products/neutron-3/
Neutronの各エディション比較表。
EQもコンプもAdvancedのみAvailable as a pluginであるとわかる。(赤で強調部分)

そんなわけで、DTM初心者やミックス初心者など「まだDTM用PCはそんなにマシンパワー高くないけど、iZotope使いたい!」ってにはAdvanced一択です。
おさらいですが、「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」ではOzoneもNeutronもStandardまでしか入ってません。

ここまでのポイント!

「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」は最上位のPro Maxを選んでも、中身のOzoneとNeutronはStandardエディションなので「重いプラグイン」として使うことになる。
※DTM用PCの処理能力が十分高いなら気にする必要なし。
※最上位エディションのAdvancedは各機能を「個別プラグイン」として使える。つまり処理負荷が軽いのでそれほど処理能力高くないPCでも問題無し。

必須級高機能メータリングプラグイン「Insight 2」が入ってない

Insight 2はiZotopeの中で「高機能メータリングプラグイン」の位置付けの製品です。

初心者向け解説「メータリングプラグイン」とは?

メータリング(Metering)プラグインは音楽制作において「音に関する状況や数値を測定・可視化してくれる」プラグインです。直接音には作用しません。
基本的なものでは音の波形のピークを測定する「ピークメーター」、ピークメーターより聴感上の音の大きさに近い「VUメーター」、音の周波数分布を表示してくれる「スペクトラムアナライザー」などがあります。
そのほかに高度なものとして、更に聴感上の音の大きさに近い表現の「ラウドネスメーター」、位相の状態を判別できる「ベクタースコープ」、定位と音量分布を可視化してくれる「ステレオイメージャー」などがあります。
主にミキシングやマスタリングの過程で用い、視覚的に把握することで楽曲の問題点や改善点を見つけたり、数値によって客観的な確認をすることができます。

近年ではYoutubeをはじめとするプラットフォームで「ラウドネスノーマライゼーション」が入ったこともあり、高機能メータリングプラグインはミックス初心者でもぜひ持っておきたいところです。

奈沼のつぶやき

Insight 2は私にとっては必須級プラグインで、ミキシングでもマスタリングでも必ずマスタートラックの最後にインサートしてます。
Logic付属でもメータリングプラグインはありますが、Insight 2とは違いラウドネス基準の設定が曖昧でプラットフォーム別に向けたマスタリングなどはできません。

しかし「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」にはメータリングプラグインであるInsight 2が入ってません。
音楽制作者向けの全部入りセット「MPS 4.1」には入っているのに、なぜ…。

Insight 2は定価で追加購入すると2万3000円くらいします。
今年(2021年)の夏に1度だけ単体セールがあり、その時は5000円程度になりました。
しかし年に1度しか単体セールされない製品です。

iZotope製品の中ではOzone, Neutron, RXに続く大きな魅力を持った製品なのでぜひ持っておきたいですが、セット販売の値引きでないと単体で買うのは正直高くて敬遠します。

もちろんFLUXやWavesなど他社メーカーの高機能メータリングプラグインを持っているなら、別に無くても良いです。
ただまだ持っているプラグインが少ないDTM初心者がInsight 2が入っていないセットを買うのは個人的にお勧めできません。

ここまでのポイント!

「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」にはミキシング/マスタリングのチェックに必須級のメータリングプラグイン「Insight 2」が入っていない!
セットと別に単体で買うと2万円強。単体セールはおそらく年一回で2021年は夏にもう終わった。
※他社の高機能メータリングプラグインを既に持っているなら気にする必要無し。

代案 : 筆者ならMPS 4.1を購入する

ここまで読んで頂けたら、「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」がDTM初心者にオススメできない理由がお分かりいただけたと思います。

「じゃあ、筆者が『ミキシング/マスタリング向けプラグインを揃えたいDTM初心者』の立場だったらどうするの?」に対する答えがあります。
それがiZotope「Music Production Suite 4.1 (通称MPS 4.1)」を買うという選択です。
(プロフィールにも書きましたが、筆者は実際に購入してバリバリ使ってるやつです)

MPS4.1はどんな製品?

MPS4.1はiZotopeから通年販売されている「音楽製作者向けの最上位プラグインセット」です。
なんてったて名前が「Music(音楽) Production(制作) Suite(ひとまとめ)」です。

セット内容は以下の表の通りです。

セット内容プラグインエディション
Ozone 9Advanced
Neutron 3Advanced
RX 9Standard
Nectar 3Plus (Melodyne 5 essential付属)
Insight 2– (エディション違い無し)
Neoverb
VocalSynth 2
Stutter Edit 2
Tonal Balance Control 2
R4
(R2の上位エディション的存在)
NIMBUS
(Phoenix Verbの上位エディション的存在)
MPS4.1のセット内容

この他にもGroove 3というiZotopeとは別の会社のビデオ教材のアクセス権があったりしますが、言語は英語のみで内容も洋楽寄りなのでおまけみたいなものです。

表で注目して欲しいポイントをハイライトしました!
OzoneもNeutronもAdvancedエディション!つまりモジュール別に使えて軽い!
Insight 2もセット内容に入ってる!

ここまでのポイント!

MPS4.1はiZotope製品で「音楽製作者向けプラグイン全部入りセット」の位置付け。
もちろんOzoneとNeutronはAdvancedエディションで入っており、Insight 2も含まれている。

MPS4.1の値段は?

MPS4.1はセット内容が「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」より明らかに充実しています。
そのため値段も高くなっていることは予想できるとは思いますが、その通りです。

iZotopeの有償製品をひとつも持っていない場合は、新規購入で定価12万800円、今のブラックフライデーセール内だと半額の6万400円です。

「そんなに予算無いよ!」って声が聞こえてきそうですが、まだ続きがあります。

iZotopeの有償製品を何かしら1つでも持っていれば「クロスグレード版」が利用でき、定価で9万2290円、今のブラックフライデーセール内では63%OFFの3万6200円です。

iZotopeは割と気前のいいプラグインメーカーで、そんなに人気のない有償製品をキャンペーンで配ってたり、こないだの10月中旬にはOzoneが20周年記念でOzone 9 Elementsが無償配布されていました。(現在は無償配布キャンペーンは終了済み)
なのでこれまで何かの機会にiZotopeの有償製品を入手していた人はクロスグレード版が利用できます。

「だいぶマシになったけど、それでもそんなに出せないよ!」って人は「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」を買ってしまってもそんなに悪くないと思います。
長期的に見て少しコストが大きくなってしまったとしても、実際に使ってミキシングやマスタリングを身につける時間はお金には代えられません。
ただ、もう少しこの先を読むといいことが書いてあるかもしれません。

ここまでのポイント!

MPS4.1のブラックフライデー中(12/6まで)の値段は
・新規購入で6万400円
・全ての有償製品対象クロスグレード版が3万6200円

予算が足りない場合→iZotope製品の無料トライアル期間で次の給料日まで繋ぐ

iZotopeの製品は全て無料お試しができます。
このことは公式も公表しています。

note iZotope日本公式ツイッターの中の人「製品の体験版について」

無料期間は計20日間。前半10日間は完全機能する「Trial Mode」、後半10日間は30秒毎に無音になる以外は全機能使える「Demo Mode」。

奈沼のつぶやき

iZotopeのプラグインがちゃんと機能するか心配な人はこの無料お試し制度を使って実際にDAW上で動作テストすることをお勧めします。CPUやメモリが少ないPCを使っている人や、OSをいつも最新Ver.で使っている人は特に動作テストした方が良いです。
筆者はM1 macに買い替えたあと、以前のIntel macから使っていたRX 7が使えなくなってて衝撃を受けました。(現在はRX 9になって正常動作)

私が提案するのは「次の給料日まではこの無料お試し体験版で10~20日間勉強して、給料日になって予算が増えたらMPS4.1を買う!」というプランです。

  • 無料なのでお財布が痛まない!
  • PC/Mac上での動作テストができる→実際買った後で「重くて動かない!」みたいなことがなくなる!
  • 実際に使ってみて自分の感覚にあっているかが確認できる(DAW同様、デザインのわかりやすさには個人差がある)
  • 給料日までの期間を有効活用できる!

ちなみにですが、iZotopeのブラックフライデーセールは12/6まで続きます。(公式情報)
仮にそれを逃したとしても、毎年その後すぐやってくるクリスマス&ニューイヤーセールでMPSはほぼ間違いなくセール対象になります。

焦って低予算の中で「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」を買ってしまうよりも、無料お試し版を有効活用しながら給料日を待ち、全力を持って(?)MPS 4.1を迎えましょう!

奈沼のつぶやき

賢い買い物のしかたとはまさにこのこと!

ここまでのポイント!

お金がないけどすぐに使ってみたい!という場合は公式無料お試し版が20日間使える!(しかも全機能使える)
PC/Macのスペックなど、動作環境に不安がある人は買う前に一度お試し版で動作テストした方が良い。

まとめ : セールに浮かれて格安パックを買うより、購入方法を工夫して最上位パックを買うのが結局お得

今回の記事ではiZotopeのブラックフライデーセール目玉商品「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」がDTM初心者にはオススメできない理由と、その代案について解説しました。

内容をまとめると

「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」がDTM初心者にオススメできない理由
  • 「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」に含まれているOzoneとNeutronは重い状態でしか使えない「Standard」エディションである
  • 「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」には必須級メータリングプラグイン「Insight 2」が含まれていない(個別で買うと2万円以上する)
iZotope製品をお得に使いたい場合にオススメできる代案
  • 今回のブラックフライデーセールで対象となっている「MPS 4.1」が本命
  • MPS 4.1に含まれるOzone, Neutronは「Advance」エディションなので軽い状態で使える
  • Insight 2も入っている
  • 値段は「はじめてのiZotopeセット(Holiday Bundle Edition)」より高いが、今回のセールやクロスグレードを使えば3万円台にできる。
  • それでも予算が足りない場合は公式の無料お試し版(期間限定フル機能)を使いつつ、次の給料日で予算補充し購入するのが賢い。(ブラックフライデーセールは12/6まで。過ぎてもすぐ後に年末年始セールが来る。)

こんな感じでした!

今回の記事は以上です!
お役に立てれば幸いです。

付録 : 登場製品まとめ

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