対象読者
- Rocksmithのレビューを探している人
- Rocksmithの魅力やイマイチな点を知りたい人
- ギターの練習を習慣づけたい人
- 新作の「Rocksmith+」の情報を集めている人
この記事からわかること
- 「Rocksmith」シリーズはどんなゲームなのか
- 「Rocksmith 2014 Edition Remastered」のレビュー(PAエンジニア視点)
- 「Rocksmith+」を快適にプレイするための準備方法
ギター初心者の方にもわかりやすい解説をします。
2021E3にてRocksmithの新作「Rocksmith+」が発表
年に一度の世界のゲームの祭典E3にてRocksmithの新作「Rocksmith+」が発表されました。
対応予定機種はPC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Android。
地域や対応ハードによってリリース時期は異なりますが、日本では2021年9月には出揃う見通しです。
筆者はギターもゲームをやりますが、Rocksmithの存在を今まで知りませんでした。
「ゲームを通じてギターの練習ができる」というのは非常に魅力的です。
筆者はピアノの練習がなかなか習慣にならなくて悩んでいた時期がありましたが、「ピアノマーベル」というゲーム形式のウェブアプリで練習が習慣になりました。
おかげさまで今は1年3ヶ月練習が続いています。
ギターでも同じような存在があると知り、興味が湧いたのでシリーズ過去作「Rocksmith 2014 Edition Remastered」を購入しプレイしました。
Rocksmithは本物のギターやベースで楽しむ音ゲー
Rocksmithはエレキギターやベースギターを使ってプレイする音楽ゲームです。
2021年6月現時点で最新作の「Rocksmith 2014 Edition Remastered」の対応ハードはPS4とX BOX 360とPC(Steam)。
「最速のギター上達法!」を売りにしており、ただゲームとして楽しいだけでなくギタースキルが上達する設計になっています。
ギター側には特別な改造は必要ありませんが、「リアルトーンケーブル」という専用のシールドケーブルを使ってPS4などのハードウェアにUSB接続する必要はあります。
一応2014 Edition Remasteredではスマホマイク経由でも対応しているようですが、認識精度低下とレイテンシ(遅延)の恐れがあるのであまりお勧めしません。
筆者はPS4とリアルトーンケーブル環境でプレイしています。
Rocksmithが「確かにギター上達に適している」と思ったところ
筆者は2週間ほどプレイしてみましたが「確かにこれはギター練習として最適かもしれない」と感じました。
その理由をポイントに分けて解説します。
「ちょうどいい楽しさ」を演出する難易度調整システム
音ゲーでは最初に難易度選択があったりしますが、Rocksmithでは違います。
曲中でプレイヤーに合わせて自動で調節してくれます。
具体的には最初はかなりシンプル化されたフレーズで始まり、正確に弾けていると徐々に複雑化していきます。
最終的には題材の曲の実際のギターパートとほぼ同一になります。
ゲームは難しすぎたり簡単すぎたりすると面白く無くなってしまうものです。
そのため各プレイヤーのレベルに合わせて難易度調整してくれるのは効果的です。
自分の上達も実感しやすく、手応えがあります。
サウンドデザインの費用や手間が大きく省ける
エレキギターは楽器自体は安く手に入るものの、「良い音を出す」ためにはさまざまな周辺機器と知識が必要です。
周辺機器の代表格がエフェクターです。
ギターの音色を変えてくれる機器です。
1個当たり数千円から数万円するのに、複数揃えないとプロが使っているような音色にはなりません。
複数の機能を搭載したマルチエフェクターというものもありますが、その分設定が複雑化しており初心者には向きません。
そのほかにもアンプ、シールド、パッチケーブル、エフェクターボードなど欲しい音を出すためのサウンドデザインには少なくない費用がかかります。
それなりに安く揃えても5万円から10万円はかかると思います。
そしてそれらの使い方を模索することに時間がかかります。
繋ぎ方、ツマミの位置などで音は変化するからです。
「あれもない、これもない」と考え始めるとギターへの情熱は薄れていってしまいます。
Rocksmithではそんなサウンドデザインの費用や手間が一気に省略できます。
曲をプレイするときはゲーム側でギターの音色を調節してくれるのでアンプもエフェクターも必要ありません。
もちろん繋ぎ方やツマミの位置などの細かい設定を気にする必要もありません。
本物のエフェクターやアンプを使った音色に比べるとやや劣る部分はありますが、それなりにかっこいい音でギターの音を出してくれます。
費用もRocksmithのソフトとリアルトーンケーブルだけなので7000円もあればお釣りが来ます。
筆者はケーブル同梱版を6600円で買いました。
ギターへの情熱が冷めないうちにギターをしっかり練習できる点はかなり評価できます。
基礎技術のレッスン付き
ギター奏法にはさまざまな種類があります。
ピッキング、ストローク、ハンマリング、プリング、スライド、ハーモニクス、ミュート(フレット、パーム)、ピッキングハーモニクス、ベンド(チョーキングとも)などなど。
これらの奏法は「LESSONS」というコーナーに解説ビデオ+演習ゲームがあり、丁寧に教えてくれます。
もっというとさらに初歩的なギターの構え方やピックの持ち方、チューニングの仕方みたいなところのレッスンもあります。
「ギター買ったけどまだ何も知らない」っていう人がプレイし始めても大丈夫です。
基礎技術は教本で勉強したりすると実際弾いている様子が確認しにくいので、変な癖がついてしまう恐れがあります。
そのためこうしたレッスン動画と確認用の演習ゲームがあるのは評価できます。
最近はYoutubeでギタリストの方々がレッスン動画を上げているので並行して参考にするのも良いです。
Rocksmithのイマイチな点
良いところがたくさんあり、筆者自身も楽しんではいますが「逆にここは最新作では改善してほしいな」と感じる部分をまとめます。
ベースギターは詳しく解説されてない
Rocksmithではエレキギターだけでなくベースギターでも曲をプレイして遊ぶことができます。
もちろんベースのパートです。
それは良いのですが、ベースに関してはLESSONSに基本的な技術の解説コンテンツがありません。
ギターと共通する部分が多いから省略しているのかもしれません。
ある程度ベースが弾けるプレイヤーなら気にならないと思いますが、初心者ベーシストにはやや不親切です。
(PS4版 2014 Edition Remasteredは)日本でダウンロードコンテンツが追加購入できない
筆者は購入してから気づいたのですが、Rocksmith 2014 Edition Remasteredは日本向けソフトが出ていないようです。
海外向け(英語圏向け)のみです。
(PS3版のRocksmith 2014は日本向けのソフトがあります。)
そのためなのか、PS4上のPS StoreでRocksmithを検索してもヒットしません。
大元のPS4版ソフトはダウンロード購入できません。パッケージのみです。
ゲーム中にダウンロードコンテンツとして曲の追加購入ができるメニューがありますが、日本のPS4アカウントでは受け付けてくれません。
そのためプレイできる楽曲は初期搭載の50曲程度に限られます。
50曲もあればギターの達人でも無い限りしばらく遊べますが、それでもどこか少し寂しさはあります。
2021年9月には日本でも最新作の「Rocksmith+」ができるので、それまでのつなぎと考えれば十分だと筆者は考えました。
(PS4 スリム版の場合)音響面が整備しにくい
PS4のゲームでは大抵の場合、「モニターからのオーディオ出力」や「コントローラーにヘッドホン接続してオーディオ出力」で事足ります。
しかしRocksmithをプレイする上ではそれらの手法では支障が出ます。
モニター内蔵スピーカーはほとんどの場合音質が良くありません。
そもそも音質以前にベースギターやバスドラムなどの低音を出せるような性能を持っていません。
コントローラーにヘッドホンであれば低音は出ます。
しかし「Bluetooth経由」なのでレイテンシが発生します。
具体的に言うなら、ギター弾いてからギターの音が若干遅れてヘッドホンから聴こえます。
音ゲーをする上では致命的な問題です。
これらの問題のためか、ソフトメーカー公式ではPS4からのオーディオ出力を「光デジタルケーブル(オプティカルケーブル)」でスピーカーアンプに繋ぐことが推奨されています。
音楽コンテンツのゲームなので音響的に良い環境でプレイした方が良いゲーム体験になるためでしょう。
コントローラー経由のBluetooth出力ではレイテンシがありますが、光デジタル(オプティカル)接続ならほぼ無くなります。
しかし、この光デジタル(オプティカル)出力端子はPS4初期型のみ実装で、現行のスリム版では廃止されて付いていません。
PS4からのオーディオ出力に低遅延や高音質を求めるユーザーは少なかったのかもしれません。
良い音響環境でプレイする手段が無くなったわけではありません。
ややめんどくさいですが、HDMI信号からオーディオ部分の信号を分離する「HDMI分離器」というものがあります。
HDMIの信号情報は「オーディオ + 映像」なのでそれらを別に分けるやつです。
分離器の種類によりますが、これでRCAやステレオミニといったプラグでも光デジタル(オプティカル)でも接続でき、良い音響で楽しめます。
PS4 スリム版でスピーカーやマイクをもっと高音質に使う方法はありますが、話が長くなるので別の記事にします。
まとめ : 「最速のギター上達法」に偽りなし。最新作も期待。
今回は2021年9月リリース予定の「Rocksmith+」に先立ち、現時点で最新作である「Rocksmith 2014 Edition Remastered」のレビューをPAエンジニア視点で行いました。
レビューポイントをまとめると
- 難易度自動調整で初心者から上級者まで楽しい
- 機材にお金をかけなくてもカッコいい音で練習できる(サウンドデザインの手間や費用をスキップできる)
- レッスンの動画や演習ゲームがあり、超基本技術から地に足の着いた上達ができる
- ベースギターも対応してるがギターのような丁寧なレッスンは無い
- (日本のPS4では)ダウンロードコンテンツの追加楽曲が購入できない
- (PS4スリムでプレイする場合)推奨設定のオーディオ光デジタル接続が使えないため、快適プレイにはHDMI分配器など工夫が必要
という感じでした!
総評
正直もっと早く存在を知りたかったレベルで良いソフトです。
PS4版の2014 Remasteredは2016年発売なので5年前にはプレイできたと考えると気づいてなかった時間が勿体無い。
ギタリストだけでなく、DTMをやっているなら人生変わるレベルに価値のあるゲームだと思います。
特にDTMerはギタリストよりギター関係にお金使えないので、機材揃えなくてもギターがいい感じの音になるRocksmithは節約にもなります。
今回の記事は以上です!
お役に立てれば幸いです。
商品紹介まとめ
Rocksmith 2014 Remastered リアルトーンケーブル同梱版(PS4)
HDMI分離器 サンワサプライ VGA-CVHD5
この商品はHDMIの信号をHDMI(映像)とRCA(オーディオ)に分離してくれるタイプのやつです。
オーディオは光デジタルケーブルの出力もあります。
似たような製品でもっと安いやつがありますが、オーディオのD/A変換を担う役割があるのであまり安いものだとDACに安物を使っている可能性が高く、音質が悪い恐れがあります。
色々比較検討した結果筆者はこれを購入しました。
AmazonのレビューでPS4での動作確認があったのも大きいです。
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