はじめに
対象読者
- vir2「ELECTRI6ITY」を買ったがマニュアルが英語で使い方がよくわからない
- プラグインのマニュアルを読むのが面倒なので要点を教えて欲しい
- 今までなんとなく使ってきたが、見落としてる便利機能がないか確認したい
プラグインギター音源としてそのリアルさで頂点に居続けるvir2「ELECTRI6ITY」。
しかしリアルな反面、設定も細かく、使いこなすのは難しい。
しかもマニュアルは英語のみ。その量60ページ。
この記事ではその英語マニュアルを読み込み、「これは知っとかないともったいない!」というポイントをまとめました。
この記事からわかること
- vir2「ELECTRI6ITY」の設定&操作の重要ポイント
奈沼 蓮
DTMer、ライブハウスPAエンジニア
エレキギターが弾けないのでPS4版「Rocksmith」で修行中。
弾けるようになるまでELECTRI6ITYを使い倒して楽曲制作をするつもり。
重要ポイント: 初期設定編
AmplitubeかBIASを持っているなら、AMPEDよりDIを使う
「AMPED」から使えるELECTRI6ITY付属のアンプシュミレーターは2022年現在ではそこまで質が高くないです。
アンプシュミレーターで定評のあるAmplitubeやBIASを持っているならそっちを使ったほうが音が良く、また設定も小回りが利きます。
ELECTRI6ITY自体からはDIの音が出るように設定し、インサートエフェクトで外部アンプシュミレーターを使うのがおすすめです。
Chord Detection ModeはSequencerに変更する
ELECTRI6ITYは初期設定では演奏設定がリアルタイム演奏重視の「Live(ライブ演奏向け)」になっています。
DTMで曲作りをする上ではライブ演奏向け設定はデメリットしかないので、「Sequencer(DAW向け)」に変更しましょう。
Chord Detection Time分、DAWトラック側でマイナスのディレイをかける
ELECTRI6ITYではMIDI情報によってコードの運指をプラグイン内部で最適化してくれる機能が付いています。
その最適なコード運指をプラグインが考える時間が「Chord Detection Time」なのですが、その分遅延(レイテンシ)が発生します。(上の写真では24ミリ秒遅れる設定になっている)
そのためDAW側でELECTRI6ITYを使っているトラックにマイナスのディレイを入れ、遅延を補正してやる必要があります。
(上の写真はLogic Proで実践したもの。)
ダブルトラッキングはヒューマナイズ2を使うと楽
リズムギターなどのパートを2回録音し、定位(パン)で左右に振ること。
特にギターでよく使われる。
これを使うことでボーカルの居場所であるセンターを開けたまま、ギターの聞こえやすさの偏りを無くすことができ、ステレオの広がりも得られる。
注意点として、完全に同じ演奏だと左右に振ってもセンターから聞こえてしまうため、生演奏で2回演奏するなど「左右でほんの少し違う演奏である」ことが必須。
ギターアレンジ定番のダブルトラッキングですが、MIDIリージョンの内容を細かく変えたものを別に用意するのは面倒です。
なんとELECTRI6ITYにはダブルトラッキング用にヒューマナイズが2種類用意されています。
これで同一のMIDIリージョンから程よく違う演奏を呼び出すことができ、ダブルトラッキングを楽に作ることができます。
重要ポイント: 操作編
キーボードのC1より下は奏法変更キースイッチなので無闇に押さない
MIDIキーボードのC1より下はキースイッチ用に設定されています。
ここを押してしまうと奏法が切り替わってしまうのでうっかり押してしまわないように注意が必要です。
もしうっかり押してしまった場合は、元の奏法に切り替える鍵を押せば戻すことができます。
例えば鍵盤上のB0を強めに押せばSustain(ミュートをかけてない音)に戻すことができます。
カッティング/ブラッシングはキースイッチG0
カッティング(ブラッシングともいう)はキースイッチが用意されており、MIDIキーボードのG0に対応しています。
マニュアル上ではGhosts Clean / Ghosts Dirtyと表現されています。
G0を強く弾くと「Ghosts Clean」のモードで各弦が均一に鳴らされたカッティングの音になります。
G0を弱く弾くと「Ghosts Dirty」のモードになり、各弦が不均一に鳴らされるカッティングの音になります。
またキースイッチ切り替え以外でもD6、D#6にトリガーキーとして対応があります。
マニュアル上では「Chucka Up / Chucka Dn」と表現されています。
カッティングアップストロークはD#6(Chucka Up)、カッティングダウンストロークはD6(Chucka Dn)です。
スライドはキースイッチA0を押しながら
スライド(弾いた弦を押さえたまま別フレットへ移動する手法)はMIDIキーボードのA0を押している間有効になります。
スライドのスピードが足りない場合はSettings>Playing>Slide Mode>Slide Speedで速くすることもできます。
逆に遅くすることはできないようです。
またキースイッチ以外にもG#6、A#6が1フレットならトリガーキーとして使えます。
スライド前の音を弾きながらG#6で1フレット下にスライド、A#6で1フレット上にスライドです。
チョーキング/ベンドはピッチベンド
チョーキング(海外ではBendで呼ぶのが一般的)はピッチベンドがそのまま使えます。
本物のギターと違うのはピッチを下げる方もそのまま使えるところです。(本物のギターなら弦を引っ張った状態から戻さないといけない)
MIDIキーボードにピッチベンドホイールがついている場合はより直感的に使えます。
驚くべきことはユニゾンベンド(2音弾いてから低い方をチョークアップして同じ音にする奏法)をELECTRI6ITY側で認識して使える点です。
普通2音弾いてピッチベンドアップすると両方の音が上がってしまいますが、ELECTRI6ITYでは「低い方の弦だけ」ピッチが上がります。
マニュアルには「Unison Bends」という名称で載っています。
なんという神仕様!さすがエレキギター音源界のトップに君臨し続けるだけのことはありますね。
※2音が2半音より広い音程差の場合は、ユニゾンベンドにならずにそのまま2音ともベンドアップされます。
ハーモニクスはキースイッチD#5
ハーモニクスはMIDIキーボードのD#5がキースイッチ対応しています。
ただ音は各弦1種類のトータル6種類のみです。
少なく感じますが、まあリアルなところ必要最低限な感じです。
ピッキングハーモニクスはキースイッチD0で切り替え後、強く弾く
ピッキングハーモニクスはMIDIキーボードのD0が対応しています。
ここで注意なのはキースイッチ時D0を弱く押すと3倍音ハーモニクス(マニュアルではHarmonics Fifthと書かれる)になり、D0を強く押すと2倍音ハーモニクス(マニュアルではHarmonics Octaveと書かれる)になることです。
さらにピッキングハーモニクスのモードは単体では存在せず、普通の撥弦のSustainとキースイッチが同居しています。
D0でピッキングハーモニクスを有効にした状態で弱く弾くとSustainの音が鳴り、強く弾くとHarmonicsの音が鳴るようになっています。
この辺はELECTRI6ITY独自の「AMT」呼ばれる、MIDIベロシティによって奏法が変化する仕様でややこしいので注意です。
大体の特殊奏法はキースイッチF0のFXの中にある
MIDIキーボードのF0を押した状態では通常の音とは全く別の特殊奏法モードに切り替わります。
ピックスクラッチやギターペグをグルグルしたような音はこの中にあります。
他にも「この音ギターでどうやって出すんだ?」と思うような音まで入っています。
終わりに
追加希望項目があれば記事下部のコメントにてお知らせください!
今回の記事は以上です。
お役に立てれば幸いです。
付録: メーカー公式情報など
2022年3月、ついにNative InstrumentsのKontakt 6 (Kontakt 6 player含む)がApple M1チップにネイティブ対応しました!
KontaktはDTMerにとってインフラみたいな存在だったので、これでM1 macを選ぶ障害がまたひとつ取り払われました。
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