はじめに
対象読者
- ライブアーティストとして活動したいので、ライブハウスから出演オファーが欲しいひと
- 出演しているライブハウスはあるが、もっといろんな会場でやってみたいひと
この記事からわかること
- ライブハウスから出演オファーが来るようになる具体的な方法
- ライブハウス側はどうやって出演アーティストを探しているか
- オファーが来るように必要なものや準備するもの
定員が300人を超える大きな会場や有名な会場でなければ、ライブハウスに出演するハードルはそこまで高くありません。
この記事では実際に出演オファーを出す仕事をしていた筆者がアーティスト向けに「どうやったら出演オファーが来るのか?」を解説します。
奈沼 蓮
作編曲家、ライブハウススタッフ(PA, ブッカー)、ブロガー
ライブハウスから出演オファーを出す担当の「ブッカー」の仕事もしている。オファーは必ず曲を確認してから差し上げる派。
前置き : 多くのライブハウスは出演アーティストをいつも探している
「街のライブハウス」の人気は90年代をピークに減少気味。現在回復傾向。
かつて1990年代にバンドブームが起こり、ライブハウスは人気の場所でした。
当時はあまりに人気のため、高倍率の出演オーディションを勝ち抜かなければ出演すること自体ができませんでした。
「ライブハウス出演歴がある」ことがバンドのステータスになる程でした。
バンドブームが去った現在は、「ライブハウス側が出演してくれるアーティストを探しています」。
それも結構本気で探しています。
かつてと異なり、手間をかけなくても人が集まるような流行で憧れの存在では無くなってしまったからです。
加えて2020年から新型ウイルスが流行ってしまった影響でライブハウスは敬遠される存在になりました。
特にもともとライブハウスに行く機会が無かった一般の人からは「密の象徴」、「地下にあって換気が悪い」、「小汚くて不衛生」みたいな典型イメージがあり、悪い追い風になりました。
2023年現在は回復傾向にあります。
新型ウイルスが収まってきたこともありますが、悪いイメージを払拭するためにライブハウス側も努力して改善されました。
換気のための設備の追加、消毒液の設置、分煙スペースの追加、入店時の検温、清掃の強化などなど。
「薄暗くて小汚くてタバコ臭くて治安が悪い」イメージを消し去り、
「明るく清潔感のある、音楽を楽しむ場所」として各所スタイルが見直されました。
逆に言うと真面目に改善しなかったり、対策改善する金銭的余裕の無い会場は潰れていった印象です。
「ブッカー」と呼ばれるスタッフがキー。オファーを出す人。
考えると当然ですが、ライブハウスのスタッフにも役割分担があります。
その中で「出演してほしいアーティストを探し、オファーを出す仕事」を担うのが
ブッカー(ブッキング担当者)
です。
ブッカーは一般的に言うところの「企画・営業担当者」です。
ライブイベントを企画し、ライブコンセプトに合うアーティストを探してオファーを出し、出演者を集めるのが仕事です。
付帯業務としてPAなどの各所への連絡調整や、ライブ当日のイベント進行管理なども行います。
つまりこの「ブッカー」の人たちに
「見つけてもらい、オファーを出せるアーティストだと認めてもらう」こと
がライブハウスから出演オファーをもらうには必要になります。
それでは次項から具体的にその方法を解説します!
ライブハウスからオファーが来るようになる方法、最重要の2選
ここからが本題です。
先に基本にして最重要の施策2つを解説します。
ここで紹介する2つは基本すぎて「やってないと損をしてしまうレベル」です。
オファー受付窓口としてアーティスト公式Twitterアカウントを作る
なぜTwitterなのか?→一番オファーが出しやすいSNSだから
アーティスト活動に向いたSNSはTwitter以外にもいくつかあります。
しかし「ライブハウスからオファーをもらう」という目的ならTwitterが最強です。
なぜかというと、理由はいくつかあります。
ひとつは「商業目的のDMに制限がかからないから」です。これが一番大きい。
ライブハウスからの出演オファーは企業の営業行為でもあります。
そのため出演条件提示など金銭面の記載もあり、DMでオファーを出すとSNSの管理プログラムに「商業目的のDM」と検知されます。
例えばInstagramはこの「商業目的のDM」に関する制限が厳しいです。
筆者も以前Instagramを出演オファーの手段にとりいれようとしたことがありましたが、5件ほど送った段階でアカウントを止められてしまいました。商業利用の場合は事業証明書を含む書類の提出や、個人情報との紐付けが必須のようでハードルが高いです。
他の理由としては
- ユーザー数の多さ
- 出演者のメイン年齢層とTwitterユーザーのメイン年齢層のマッチ
- こまめに見られやすいTwitterの性質
- Instagramと異なり、アプリやアカウントを持っていなくても投稿視聴に制限がない
などがあります。
オファーを受け取れるようにTwitterのDMを解放しておく(要設定変更)
TwitterにはDM(ダイレクトメール)機能があります。
これは特定のユーザーとメッセージのやり取りができるものです。
ブッカー側もこのDMを利用して出演オファーを贈ることが多いです。
しかし現在のTwitterの初期設定では相互フォローの状態でなければDMが送れません。
なので設定を変更しておく必要があります。
Twitterを開き、下画像のように、
左サイドバー > More > Settings and Support > Privacy and safety > Direct Messages
と選んでいきます。
最後に「Allow message requests from everyone」の項目のチェックボックスにチェックをしたら完了です!
これでTwitterのDMでオファーメッセージを受け取れるようになりました。
プロフィール欄に余裕があれば、
「ライブ出演依頼はDMまで!」
など、DMでオファー受け付けていることを伝えているとより良いです。
プロフィールの地域設定欄で「ライブ活動地域」を伝える
Twitterのプロフィールには地域を伝える項目があります。
ここにライブ活動したい地域を入れましょう。
というのもライブハウスは日本各所にありますが、
「活動地域が遠すぎるアーティストを呼んでも、出演してくれない可能性が高いから」です。
遠いと移動時間や交通費が多くかかってしまうので、アーティスト側の出演のデメリットが増えます。
ブッカー側は「活動地域がわからないアーティスト」にはオファーを出しにくいです。
そのため基本的にブッカーは「近い地域で活動しているアーティストにオファーをかけます」。
できれば同都道府県内、遠くても隣県が妥当です。
Twitterで活動地域を明示しておけば、ブッカー側も出演交渉の余地の有無がわかります。
オファーが欲しい場合はライブ活動地域(活動したい地域)をプロフィールで伝えましょう。
ちなみに記入する場合は「県単位」がおすすめです。「東京」とか、「大阪」とか。
裏技的戦略として、「千葉にいるけど、2県となりくらいの移動は構わない!」という場合は「東京」と入れておくなど、隣県でライブ会場が多い場所を入れておくとオファーが来やすくなります。
プロフィール写真はイラストではなくアー写らしい実写
ライブアーティストならTwitterのプロフィール写真はイラストは避けましょう。
いわゆる「アー写(アーティスト写真)」と呼べるような、実写で音楽性が少し伝わるような写真がベストです。
この理由のポイントは「顔出ししている」ことです。
アーティストにはライブもやる人と、ネット活動だけで顔出しはしないタイプがいます。
ライブハウスのライブで顔出ししないのは困難です。
そのため顔出ししてないアーティストへブッカーはオファーをあまり出しません。
写真はこだわるとお金がかかってしまうものですが、気負いすぎる必要はありません。
ロックな音楽性ならロックっぽい場所で、ロックっぽいファッションで、ロックっぽい表情で撮れてれば最高です。
スマホカメラで撮ったものでも十分です。
もし光をアンニュイな雰囲気にしたい、とかあれば「FireAlpaca」とかの無料画像編集ツールを使いましょう。
繰り返しますが、オファーを受ける上で重要なのは「顔出ししていること」です。
参考音源として演奏が聴ける動画や音源をネットにアップしておく
ブッカーがあなたのTwitterアカウントを見つけたとして、
「どんなジャンルの音楽をやるのか?」
「イベント出演に足る実力を持っているか?」
を判断する必要があります。
その判断材料として、「参考音源」はぜひすぐにアクセスできる部分に提示しておくのがベストです。
Twitterのプロフィール欄や固定ツイートにYoutubeリンクが最適
参考音源の提示場所として最適な場所のひとつは「固定ツイート」です。
ブッカー側が参考音源を確認したい時に、すぐに見つけることができます。
ぜひ名刺代わりになるような作品の紹介ツイートを載せておきましょう!
プロフィール欄にYoutubeチャンネルのリンクを載せておくのも良いです。
Twitterのプロフィール項目には外部サイトURLを設定できる部分があるので活用しましょう。
こちらは代表曲のリンクでも良いですが、Youtubeチャンネル自体のリンクもおすすめです。
ブッカー側はおそらく最新の作品や再生数の多いものを2,3曲聴いて判断します。
そのため作品一覧が見やすい方が親切な誘導になります。
ちなみにちゃんとしたミュージックビデオを用意する必要はありません。
バンドであれば「練習スタジオで演奏した時にスマホで撮った記録映像」とかでOKです。
ブッカー側は音楽性や演奏技量を見るので、撮影技術や動画編集技術は関係ありません。
チャンネル登録やいいねが増えるチャンスにもなるので一石二鳥です。
Instagramへの誘導やsoundcloud活用もおすすめ
今までInstagramでの投稿に力を入れていた、という場合はInstagramに誘導するのもありです。
ブッカー側からするとひと手間増えてはいますが、Instagramでのアカウントの方が「アーティストらしさ」が表現できているならオファーを得る上で有利に働きます。
動画を作るのは苦手だったり、億劫になってしまうのであれば、soundcloudへのアップロードもありです。
ヒップホップ系のトラックメイカーにはこのタイプが多い印象です。
soundcloudの仕様を把握していれば、他SNSより高音質で届けることもできます。
アップロード先のリンクをTwitterプロフィールに貼って誘導しましょう。
一歩進んだ攻めの方法、応用の3選
上で書かれたことは全部やったけど、あまり効果を感じられない。
もっと積極的に動いて早く成果を出したい!
という人に向けて、「攻め」のアプローチも紹介します。
出演したいライブハウスのブッカーのアカウントをフォローする
Twitterのアカウントを持っていても、目的のライブハウスのブッカーに見つけられなければ目的は達成できません。
ここで「ブッカーのアカウントをフォローする」というのが効果的です。
新規フォロワーになると相手側に通知が行くので、ほぼ確実に相手に気づいてもらえます。
プロフィール文に「ブッキングライブのお誘いお待ちしてます!」と入れる
Twitterのプロフィール欄や固定ツイートで「積極的にライブ活動をしていきたい」意志を示しておくのも効果的です。
文例としては
- ブッキングライブのお誘いお待ちしてます!
- たくさん歌いたいです!
- 〇〇県を中心に積極的に活動中!
のような感じです。
フォロワーが凄く多いとか、参考音源が凄く良くできてるアーティストは「街のライブハウス」には逆に誘いにくかったりします。
こうしたことが書いてあると、ブッカーの心情的に誘いやすくなるのでおすすめです。
ライブハウスHPの出演希望窓口やお問い合わせフォームで出演したいと伝える
もはやこれは「オファーをもらう」ではなくなっています。
とはいえ、そのライブハウスに出演することが目的なのであれば有効な手段です。
まともな会場であれば間違いなく、挨拶や参考音源チェックなどのやり取りはしてもらえます。
会場によって審査基準は異なるので、出演させてもらえない可能性もあります。
それでももともと存在を気づかれてないよりマシです。
まとめ
今回の記事では「ライブハウスから出演オファーをもらう方法」を紹介、解説しました。
内容をまとめて振り返ると、
- 今の時代、ライブハウスの出演ハードルは高くない。気負いしすぎず挑戦して良い。
- 出演オファーを出すのは「ブッカー」と呼ばれるスタッフ
- ブッカーに「見つけさせること」、「参考音源に誘導すること」、「オファー連絡先を用意しておくこと」が必要。
- 全てを満たすには「Twitterのアカウントを用意してDMを解放し、参考音源のリンクを見やすい場所に設置」。
- ライブ活動地域もプロフィールに入れておく。該当地域周辺の会場からオファーが来る。
- 上記でも反応が悪ければ、ブッカーのアカウントをフォローするなど、こちらからもアプローチ。
こんな感じでした!
今回の記事は以上です。
お役に立てれば幸いです。
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