【動画1分でわかる】カラオケに無い曲を歌う方法(持ち込みカラオケ)を音響エンジニアが解説

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はじめに

対象読者

  • カラオケで歌いたい曲があるが、デンモクで探しても無い(instrumentalなどオフボーカルの音源は持っている)
  • 歌ってみたの練習をカラオケでしたいが、曲がマイナーなこともあり実装されていない
  • 自作曲やバンドの曲のボーカル練習をカラオケでしたい

この記事からわかること

  • カラオケルームにあるカラオケ設備を使い、自分で用意した曲をスピーカーから流す方法
  • 持ち込みカラオケをするのに必要なもの
  • 注意すべきことや、失敗しないために事前に知っておきたいこと

持ち込みカラオケの設定は手順自体は簡単です。
中学生くらいの知識や判断力があれば問題なく設定することができます。

今回紹介する方法を実践した後は、カラオケ店に迷惑がかからないようカラオケセットの設定や位置、配線は入室時同様に戻しておきましょう。

紹介する方法では通常のカラオケサービスで用意されている「映像の表示」や「歌詞の表示」はできません。
カラオケ伴奏をスピーカーから出し、通常設備のマイクで歌うことは可能です。

ショート動画解説:1分で方法を知りたい人へ

実際やるとものすごく簡単ですが、文章だと難しく感じる部分があるので解説動画を作りました。
1分で最低限必要なことが全部わかります。

これだけです。
これだけの説明では分からない場合や、この通りやっているけどうまくいかない場合は、この後の解説で必要なところを探してみてください。

用意するもの:オーディオプレーヤーとケーブルのみ

オーディオプレーヤーとケーブルの例
  • カラオケのスピーカーから流したい曲が入ったオーディオプレーヤー(スマホやWalkmanやパソコンなど)
  • オーディオプレーヤーとカラオケセットのパワーアンプを繋ぐケーブル

これだけです。ケーブルを除き、特別なものは必要ありません。

音楽プレーヤーによって使えるケーブルは変わる可能性がありますが、大体の場合は「ステレオミニフォン – RCAオス」のケーブルが使えます。一例を下に載せます。

原理解説 : なぜこの方法でスピーカーから音が出るのか?

「なぜこの方法でオーディオプレーヤーの音がスピーカーから出るのか?」が気になる人もいると思います。
原理がわかっていない部分が多いとミスにつながりやすいので、必要な部分を解説します。

カラオケは本体の音をパワーアンプが増幅し、スピーカーから出している

カラオケセットは「カラオケ音源本体(DAM, JOYSOUNDなど)」、「パワーアンプ」、「スピーカー」、「マイク」、「リモコン(デンモクなど)」、「モニターディスプレイ」から成り立ちます。

注目するのは「カラオケ音源本体」、「パワーアンプ」、「スピーカー」の部分です。
他の要素はいじる必要がないので解説から省きます。

通常のカラオケセットではカラオケ音源本体から楽曲のオーディオ信号をパワーアンプに送り、パワーアンプ内でオーディオ信号を増幅し、その信号をスピーカーに送り音を出しています。

一般的なカラオケの接続例概略図
(画像引用元 : 第一興商公式サイト https://www.dkkaraoke.co.jp/business/karaoke_service/

カラオケ本体の代わりにオーディオプレーヤーの音を増幅させる

カラオケに入っていない曲をスピーカーから流すには、その曲が入ったオーディオプレーヤーをケーブルによってパワーアンプに繋ぐことで可能です。
つまりカラオケ本体の代わりをオーディオプレーヤーにさせてるだけです。シンプル。

持ち込みカラオケを行う場合の配線概略図
(一部画像引用元 : 第一興商公式サイト https://www.dkkaraoke.co.jp/business/karaoke_service/

これで原理の解説は終わりです。
ここから実際の手順を紹介します。

詳細解説 : 手持ちのオーディオプレーヤーの音をスピーカーから出す方法

ここからが本題です。

オーディオプレーヤーやカラオケセットのパワーアンプの種類は色々ありますが、今回は「iPhone」と「DAM-AD8000」を具体例にして解説します。(この組み合わせで利用する人が多そうなのが主な理由です)
機種が違う場合もDAMのパワーアンプ現行機種の背面はどれもほぼ同じなので、簡単に応用できます。

受付で機種は「DAM」を選ぶ

カラオケの受付で機種を選ぶとき、DAMかJOYSOUNDかを聞かれますが、ここでDAMを選びます。
なぜかというとJOYSOUNDのカラオケセットのパワーアンプ現行機種のほとんどは音声入力端子が「カラオケ本体分の1つ」しかなく、今回の方法が使えないからです。

例外としてJOYSOUNDのパワーアンプ現行機種の中で「AP-L100」だけは音声入力端子が2つあり、使うことができます。

一方でDAMのパワーアンプ現行機種は3種類全て音声入力端子が2つあります。

パワーアンプの「マスター音量調整つまみ」の位置を記録しておき、一度「0(最小・ミュート)」にする

カラオケセット正面から見えるパワーアンプ正面の「マスター音量調整つまみ」がどの位置になっているか確認し、忘れないように記録しておきます。(スマホで写真を撮るなど)

パワーアンプのマスターボリューム調整つまみの位置の例
(画像引用元 : 第一興商公式サイト https://www.dkkaraoke.co.jp/business/karaoke_service/

「標準のセッティングではマスター音量調整つまみがどの位置になっていたか」はこの後の「音量調整」や「退室時の現状復帰」に必要な情報なので必ず記録しておきましょう。

経験上、多くのカラオケ店ではパワーアンプの音量基準位置がわかるようにステッカーが貼ってあることが多いです。その場合はこの記録が不要になります。

マスター音量調整つまみの位置を確認・記録したら、一度そのつまみを反時計回りに回し切り、マスター音量を「0(最小)」にしておきます。
これはこの後のiPhoneの接続時に流れる電流でノイズが発生しないようにするためです。

ここで「0(最小)」にするボリュームは「パワーアンプのマスターボリューム」です。
「カラオケ本体(DAMやJOYSOUND)のボリューム」を0(最小)にしても意味が無いので間違わないよう注意してください。

オーディオプレーヤーとパワーアンプをケーブルで繋ぐ

オーディオプレーヤー(iPhoneなど)とパワーアンプ(DAM-AD8000など)では「3.5mm ステレオミニ(オス) – RCA(オス)のケーブル」を接続に使います。
ケーブル長さは2~3mあれば充分です。長い分にはあまり支障ありませんが、0.5mなど短すぎると使い勝手が悪いです。

製品の一例としてはこういうものです。

3.5ステレオミニの端子をiPhoneのステレオミニジャックに挿します。
※iPhone側がLightning端子しかない場合は変換ケーブルを使ってください。

カラオケセットの背面が見える位置に移動します。
必要ならカラオケセットの載っている台を少し動かします。

カラオケセットはキャスターの付いたラックに収まっていることが多く、背面が見えるように移動させるのは簡単です。
ただ急に動かすとケーブルが抜けてしまう恐れがあるので、注意しながらゆっくり動かしましょう。
場所によっては手元が暗いこともあるので、小型のライトがあると安心です。

ケーブルのもう一方RCA端子側をパワーアンプ背面の「音声入力端子の使ってない方」に挿します。

パワーアンプの音声入力端子位置の例(DAM-AD8000の場合)
(画像引用元 : 第一興商公式サイト DAM-G100W
取扱説明書 https://www.dkkaraoke.co.jp/business/karaoke_service/products/g100w/DAM-G100W_v01.pdf)

上記の例ではパワーアンプの音声入力端子が2セットあり、うち1セットはカラオケ本体が接続されています。
目安ですが、説明書では「音声入力A」がカラオケ本体に接続されているので、「音声入力B」が空いている可能性が高いです。

RCAケーブルの先端は赤いものと白いものの2種がありますが、赤いものは赤い入力端子に、白いものは白い入力端子に挿せばOKです。
仮に反対に挿してもLRが反転するだけなので事故にはなりません。

これでオーディオプレーヤーとパワーアンプの接続が終わりました。

ちゃんと音が出るかボリュームを少しずつ上げてチェック

先に音楽プレイヤーのボリュームを少しずつ上げていきます。
大体8割くらいまで上げておくのがおすすめです。
この時はまだ音がスピーカーから出ないはずです。パワーアンプのボリュームが「0」になっているので。

次にパワーアンプのマスターボリューム調整つまみでボリュームを少しづつ上げていきます。
この時は徐々にスピーカーから音が出てくるはずです。
ちょうど良いくらいの音量が出るよう調整しましょう。

これで音が出てれば目的達成です。
ガッツリ練習しましょう。

(退室時)配線やつまみの設定などを入室時状態に戻す

退室時は配線やマスターボリューム調整つまみなどを元に戻す必要があります。
配線を抜くときもノイズは発生するので、この時もパワーアンプのマスターボリュームは「0」にしておく必要があります。

具体的な手順をまとめると、

  1. オーディオプレーヤーのボリュームを「0」にする
  2. パワーアンプのマスターボリューム調整つまみを「0」にする
  3. 接続に使った3.5mm ステレオミニ – RCAケーブルを抜く
  4. パワーアンプのマスターボリューム調整つまみを入室時の位置に戻す

これで安全に元通りにすることができました。
おつかれさまです。

うまくいかない場合のチェック項目7つ

「ここに書いてある通りにやったはずなのにスピーカーから音が出ない!」という場合、落ち着いて次の項目を確認してください。

チェックの過程でケーブルを抜く場合はパワーアンプのマスターボリュームを「0」にしてください。

  • オーディオプレーヤーのボリュームは十分に上がっている
  • パワーアンプのマスターボリュームは十分に上がっている
  • オーディオプレーヤーは故障していない(イヤホンなどを挿すと音が聞こえる)
  • パワーアンプの電源は点いている(カラオケセットを動かしたときにコンセントが抜けてしまった可能性)
  • 3.5mm ステレオミニ – RCAのケーブルは故障をしてない(古いものだと断線の可能性がある)
  • RCA端子(赤・白)は2本ともパワーアンプの「音声入力」に接続されている
  • カラオケセット(カラオケ本体やマイク)は通常通り使える(入室時から何か不具合があった可能性)

上の条件を満たした上で「それでも音が出ない」という場合はオーディオや機械、DTMなどに詳しい友人にこのブログ記事を見てもらい、協力を求めましょう。
くれぐれも無理は禁物です。音響事故やカラオケ設備の故障の恐れがあります。

まとめ : 手順自体は簡単で時間はかからないが、後片付けはしっかりと

今回の記事では「カラオケに入っていない曲を持参したオーディオプレイヤーなどを用いてスピーカーから出す方法(持ち込みカラオケ)」について解説しました。

基本的には「ケーブルを用意して音楽プレーヤーとパワーアンプを繋ぐだけ」です。
注意事項や事故防止のための手順を盛り込んだため、やや長くなりましたが本質部分は至ってシンプルです。

カラオケ店のスタッフの皆さんの仕事を増やさないよう、移動したカラオケラックは元の位置に戻すなど後片付けはしっかりやりましょう。

今回の記事は以上です。
お役に立てれば幸いです。一歩進んだカラオケライフをお楽しみください。

本記事の内容でわかりにくい部分や質問があれば、記事の下にあるコメント欄にお寄せください。可能な限り回答します。

登場製品紹介 + 追加参考資料

パワーアンプメーカー公式背面図(Cyber DAM + 公式商品紹介ページ)

: https://www.dkkaraoke.co.jp/business/karaoke_service/products/g100w/

取扱説明書が載っており、そこにパワーアンプ(DAM-AD8000)の背面図も載っています。
下調べに使える資料なので紹介します。

Youtube 第一興商ライブダムXG-5000配線接続手順

「カラオケ流通センター」というチャンネルがカラオケの業者向けに配線接続方法を解説している動画です。
XG-5000は数年前の機種なので直接の参考にはなりませんが、カラオケセット背面の仕様は大きく変わっていないので実際の様子がかなり掴みやすいです。
これも下調べ資料として有用です。

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