【DTMのはじめ方】ゼロから曲ができるまで。全工程解説。

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はじめに

対象読者

  • DTMをはじめることにしたが、何からすれば良いのかわからなくて途方に暮れている
  • 「曲ができる」までに何をしたらいいのか知りたい

この記事からわかること

  • ゼロ(何もない状態)からDTMで曲を作るまでの各工程
  • 一般的な楽曲製作はどんな順序でどんなことをやっているのか
  • 完成した楽曲の利用方法
筆者紹介
奈沼蓮アイコン画像

奈沼 蓮

DTMer(作編曲、ミキシング、マスタリング)

アイキャッチ画像作成のためにいろんな宇宙の画像を見ていたら、美しさに感動して天体観測したくなった。

DTMでの楽曲製作の全体像

Photo by Pixabay

一般に楽曲製作と呼ばれるものはいくつかの段階に分けることができます。

基本的に「作曲→編曲→レコーディング(MIDI打ち込み)→ミキシング→マスタリング」の順に進んでいきます。
(作詞がある場合は作曲段階か、編曲段階でつけます。)

それぞれの段階で「その道のプロ」がいるくらい奥深い世界ですが、商用レベルのクオリティーにこだわらなければ誰でもある程度のことはできます。
とはいえミキシングとマスタリングではそれらの方法を知るために高校生くらいの読解力や理解度は必要かもしれません。

準備: 必要な機材を揃える

最初の「作曲」の段階に入る前に、DTMを始めるのに必要な機材が揃っているかを確認します。
最低限「パソコン」と「DAWソフト」があればOKです。

もっと詳しく知っておきたい方は下の参考ページをどうぞ。

曲作りの段階

必要なものが揃ったら、実際に曲を作っていきます。

STEP
作曲
Photo by Leigh Cooper on Unsplash

作曲(Compose)

一般に「作曲」というと文字通り「曲を作ること」ですが、音楽分野では「曲の基本となる部分を作ること」を指します。

具体的には

  • メロディーの作成
  • 曲構成(イントロ、Aメロ、Bメロ、サビなどの大まかな流れ)の決定
  • コード(編曲で追加・変更することもあるが基本となるもの)の決定
  • リズム(拍子、8ビートなのか16ビートなのか、イーブンなのかシャッフルなのかなど)の決定

伴奏を仕上げるのは次の「編曲」の段階です。

一見簡単そうですが、メロディーを作る段階なので作品の魅力に大きく関わる大切な部分です。

STEP
編曲
Photo by Caleb George on Unsplash

編曲(Arrange)

あまり一般には馴染みが無いですが、作曲の次に作品の魅力を左右する重要段階です。
英語では「アレンジ(Arrange)」とも呼ばれます。一般でいう「アレンジ」とは意味が異なるので注意です。

伴奏を作ります。逆にいうとメロディー以外ほぼ全部を作ります。
具体的には

  • 編曲の大まかな方針となるジャンルの決定
  • 伴奏楽器編成の決定
  • 仮MIDI打ち込み&仮レコーディング(仮歌など)
  • サウンドの大まかな方向決定(バッチリ決めるのは次段階)
  • 作曲段階でのコードの一部変更
  • 作曲段階での曲構成の一部変更(演出的なタメを入れるなど)
  • ギターソロなどメインメロディー以外のサブ的なメロディー作成

編曲するジャンルに関係する知識や理解が問われ、差がつきやすい段階です。

STEP
レコーディング&MIDI打ち込み
Photo by Pixabay

ここから「実際の曲で使う音」を作る段階です。(今までのは言わば「参考の音」)

レコーディング(Recording)

編曲を基に、プラグイン音源の音を実際の楽器演奏の音に差し替えていきます。
特にギターはプラグイン音源の音が不自然になってしまいやすいので、生演奏に替えることが多いです。

プラグイン音源のみで完結させる場合も、編曲のフレーズを改めてMIDIキーボードで手で弾いたりしてより自然な表現にしたりもします。

筆者はピアノの上手な友達に頼んで、自作曲のピアノフレーズをMIDIキーボードで弾いてもらったことがあります。
こういった手法はMIDIレコーディングと呼ばれます。

MIDI打ち込み(MIDI Programming)

パソコン内のプラグイン音源を鳴らすために「MIDI」という演奏情報データを入力します。
DTMでは編曲の段階で同時進行しています。
編曲段階の状態から、より楽曲のニュアンスに合うようにベロシティやオートメーションを調整し表情豊かに仕上げていきます。

具体的な処理としては

  • タイミング調整
  • ベロシティ調整
  • コントロールチェンジ(CC)などのオートメーションによるニュアンスの調整

などです。

STEP
エディット&アライメント
Photo by OLEG PLIASUNOV on Unsplash

この部分はレコーディングした素材の後処理であったり、ミキシングの前処理であったりと意見が分かれるところなので別枠にしました。
イメージとしては「掃除」や「整理整頓」に近いです。

ノイズ除去

個人製作の場合は生演奏の音を宅録(自宅の部屋でレコーディング)することが多いと思います。
その場合部屋の壁による反響音、空調の音、近くの道路で車が走る音、救急車のサイレンなどがレコーディングした音にノイズとして混入してしまいます。
作品に悪影響が出ないよう、そうしたノイズが無いか確認し、除去する必要があります。

またレコーディングの知識や技術が不足していて機材の設定が不適切な場合もノイズの原因になるので注意が必要です。

ノイズの除去はiZotope RXが業界標準と言ってもいいくらい定番になりつつあります。
現在の最新バージョンはRX 9です。音楽製作目的ならStandardグレードで機能十分です。

ピッチ&タイミング修正

MIDIデータはピッチやタイミングの調整がDAW上で簡単にできますが、録音したオーディオデータではやや複雑になります。

主にボーカルをレコーディングしたデータで行います。
音が外れてしまった場合は基本的に録り直しますが、「会心のテイク」ともいえる再現困難なくらい出来のいいデータでピッチのズレが気になる場合はMelodyneなどのソフトでピッチを修正することができます。

STEP
ミキシング
Photo by Pixabay

ミキシング(Mixing)

音の素材が揃ったらミキシングです。
非常に有名で、創造性の高い段階です。

目的は「楽曲を聴きやすく、作編曲の意図が伝わる仕上がりにすること」です。

具体的には

  • 各パートの音量バランスの調整
  • 定位(Pan)の振り分けによる音像分離
  • イコライザ(EQ)によるトーン(音色)デザイン
  • コンプレッサーによるダイナミクス(音量変化)デザイン
  • リバーブによる空間表現デザイン

などが代表的な処理です。

リファレンス音源を利用する

上手く仕上げるコツは「ミックスのリファレンス(参考音源)」を選び、各パートの音量バランスや音色などを近づけてみることです。
リファレンスには「こんな感じの仕上がりがいい」と思えることは必須ですが、

  • ジャンルが同じ
  • 楽器パート構成がほぼ同じ
  • テンポが近い

などの要素が揃っていると、よりリファレンスとして使いやすくなります。

またこの過程は使っているヘッドホンやスピーカーといった「モニター環境の質」が大きく関わります。
例えば低域が強く出るヘッドホンなどでミックスしてしまうと、曲自体は低域が足りなくなってしまいます。
用意できる範囲で周波数バランスが良く、解像度が高いモニター環境でミックスしましょう。

STEP
マスタリング
Photo by Kelly Sikkema on Unsplash

マスタリング(Mastering)

マスタリングの目的は「リスナーが聴く環境を想定してミックス済み音源を調整する」ことです。
Youtubeから聴くのか、CDから聴くのか、レコードから聴くのか、spotifyから聴くのかなどそれぞれでマスタリングに求められることは少しずつ変わります。

Youtubeやspotifyなどは各サービスで「アップロードできる音源データ形式」が決まっており、またラウドネスノーマライゼーションなどの「後処理」がされます。

例えばミキシングが済んだ曲が高解像度のビット深度32bit float、サンプルレート192kHzで、マスターリミッター叩きまくりの高ラウドネス-6LUFSで満足のいく仕上がりになっていたとします。(極端な例です)
この曲をそのまま動画をつけてYoutubeにアップロードした場合、音量は下げられてしまう上、解像度も下げられてしまいます。結果「意図しない仕上がり」になってしまいます。

各サービスに合わせて不都合が起きないよう、理想的なミックスの仕上がりをリスナーまでできるだけ維持できるようにする処理がマスタリングです。

STEP
完成!
Photo by Pixabay

完成です!おつかれさまでした!

曲が完成した後どうする?

めでたく曲ができましたが、その後どうするか?もいくつか選択肢があります。
(実際にはマスタリングの段階で「どこで使うのか?」は必要な情報なので、曲が完成する前にどうするかは決まっているものです)

SNS(YoutubeやTwitterなど)で公開・発表する

Photo by Pixabay

世界に発信するので、一番わかりやすくて手ごたえがある道です。
最初のうちは知名度が低いためあまり再生されませんが、それが徐々に増えていくことにもやりがいがあります。

メリット

  • 少しだけでも人目に付くので他の人から反応がもらえる
  • DTM仲間を作るきっかけになる

デメリット

  • 「動画」にしないといけないのでDTMだけでなく動画製作のことも身につける必要がある(他者に頼むこともできる)
  • 全然注目されないことや低評価に負けない覚悟とメンタルが要る

ストックミュージックサービス(Audiostockなど)で販売する

Photo by Pixabay

ストックミュージックのサービスで楽曲ライセンスを販売することもできます。

メリット

  • すぐに収益化できる
  • 自作曲が購入されると嬉しい
  • 劇伴、映像音楽、BGM向きだと有利

デメリット

  • 販売に至るには楽曲が品質審査を突破するクオリティーが求められる
  • 審査を抜け、販売開始されても売れるとは限らない
  • 知的財産権の一部が自分のものではなくなる
  • 歌もの(メインメロディーがボーカルの曲)は売れにくい

公開せず保留する or ボツにする

Photo by Maick Maciel on Unsplash

完成させたからといって公開しないといけないわけではないので、敢えて保留するのも手です。

メリット

  • さらに実力がついたとき、ブラッシュアップして「新曲」として発表できる
  • 友人のバンドなど楽曲提供先が見つかった時用のストックとして使える

デメリット

  • 手ごたえを得られない
  • 早めに発表しておけば聴いてもらえたかもしれない機会を逃してしまう

まとめ

今回の記事では「ゼロから曲ができるまで」の楽曲製作の各工程について解説しました。

まとめると

  • 基本的には作曲→編曲→Rec→Mix→Masterの順に進む
  • 必要な機材やソフトが無ければ揃えておく
  • 完成した曲はSNSで公開したり、ストックミュージックで販売するなどできる

こんな感じでした!

今回の記事は以上です。
お役に立てれば幸いです。

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