はじめに
対象読者
- 赤いケーブル線の効果的な使い道をまだ知らない人
- 特にオーディオインターフェースやキーボード、持ち込みのミキサーなどを使うライブアーティスト
- オーディオ機材接続にたくさんのケーブルを使う人
この記事からわかること
- オーディオケーブル(マイクケーブルやフォンケーブル)に赤を用意した方がいい理由
- 赤ケーブルのおすすめ購入方法
- 赤ケーブルを用意する以外の簡易な識別法
奈沼 蓮
ライブハウスPA、作編曲家、ミキシング/マスタリングエンジニア
前職がメーカーデザイナーだったせいか、細かい部分に気を利かせたがり。
「赤」ケーブル最大の利点は「識別しやすい」こと
多くの業務用ケーブルは黒だが、黒以外も有名メーカーは作ってる
楽器店でシールドコーナーやマイクケーブルコーナーを見ると、ラックにあるのは黒のケーブル線に銀色のコネクタの製品がほとんどです。
しかしケーブル線には黒以外の製品もあり、サウンドハウスなどのECショップで探すと出てきます。
しかもCANAREやBELDEN、MOGAMIなど業務用として定評があるメーカーです。
赤ケーブルが真価を発揮するのは「黒ケーブルと合わせて使う」時
赤ケーブルは「普通の黒ケーブルと合わせて使う」ことで真価を発揮します。
具体的な効果としては、接続のミスを防ぎ、作業中の確認の手間を減らし時間の節約することです。
では具体的にどう使うのが良いのか?次の項から解説します。
赤ケーブルの活用法
基本にして最重要の活用 : ステレオL側のケーブルを黒、R側を赤
一番有用で活用範囲が広いのがこれです。
このことを伝えるためにこの記事を書いていると言っても過言ではありません。
フォンケーブルもRCAケーブルも「ステレオペアの製品」は「L側は白、R側は赤」になってる
音響業界の通念上、ケーブルをステレオ(左側右側一対の音声信号で使う場合)ではL側を白、R側を赤で使います。
実際に多くのケーブル製品ではL側に白いコネクタ、R側に赤いコネクタが採用され、見分けられるようになっています。
もちろんPAエンジニアはこのことを知っているので、ステレオペアのケーブルを黒いケーブルと赤いケーブルで渡されれば、
(こう色分けされているということは)赤い方がR側の信号ケーブルだな!
と何も言われなくても認識できます。
これが両方普通の黒いケーブルだった場合、ぱっと見ではどちらがL側でどちらがR側なのかわかりません。
機材の出力端子までケーブルを辿っていき、確認する手間が生まれます。
ケーブルを多用する演出の人の場合は辿り間違えるミスが発生する可能性もあります。
つまりR側のケーブルに赤ケーブルを使うことで、確認の手間を省き、ミスのリスクを減らすことができます。
これには覚え方があり、
「RはRed(赤)とRight(右)を兼ねている」
というものです。
関連した色分けで、たまに「白ケーブルと黒ケーブルのペア」でステレオのものがあります。
この場合は白側がL, 黒側がRになっていることが多いです。
色の組み合わせで黒は役割が変わることを覚えておいてください。
おすすめの赤ケーブルと購入方法
ここからは赤ケーブルをどこで購入するのか?を解説します。
ケーブルのメーカーには業界で一定の評価と支持を得ているところがあります。
またケーブルを自作する人と自作しない人でちょっとおすすめできる製品も変わるので、それらも踏まえます。
おすすめ購入場所は音楽系通販サイト「サウンドハウス」の実質一択
誰にでもおすすめの購入先として提案できるのがサウンドハウスです。
音楽系ECサイト最大手でプロも使います。筆者の私も使います。
値段安い、配送早い、2000円以上で送料無料、ポイント付く、サポート充実で文句無しです。
まだ使ったことない人には初回のアカウント登録がちょっと面倒かもしれませんが、乗り越える価値があります。
ケーブルに関しても
- 多色取り揃えている
- ケーブル線の1m単位での切り売り(必要な分だけ安く買える)
- コネクタ部分だけも販売
など融通が効いていておすすめできます。
おすすめケーブルメーカー : CANARE(カナレ電気株式会社)
安いのに国産品質で世界中で業界超定番の信頼性。まず間違い無し。
最初におすすめできるメーカーがCANAREです。
日本の神奈川県に本社があるメーカーです。
アメリカ、中国、インド、ドイツ、シンガポールなどにも支社がある世界企業です。
音響以外にも映像や放送の分野でも信頼されているメーカーで、現場で見る業務用のケーブルのほとんどはCANARE製です。
業界基準のような側面があるため、音質は無個性な感じがします。
ケーブル線自体は比較的柔らかく、取り回ししやすいのが良いです。
フォンケーブル完成品ならLCシリーズ
マイクケーブル(XLRケーブル)完成品ならECシリーズ
ケーブル自作するならL4E6Sの切り売り
おすすめケーブルメーカー : BELDEN
「音の太さ」の違いを感じる音質推し定番メーカー
BELDENは1902年から続くアメリカのケーブルメーカーです。なんと100年企業。
こちらも世界企業で、アメリカと日本はもちろん、オーストラリア、シンガポール、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなどなど世界各地に支社を持ちます。
CANAREのケーブルは既に持っていたり、もっと音質にこだわりたい、という場合はBELDENのケーブルがおすすめできます。
マイクケーブル、ギターシールド共にCANAREとは明確な音質の違いを感じることができます。
筆者は以前Inter BEE(東京ビックサイトで行われる音響映像分野の大規模展示会)でケーブル5社の聴き比べをしたことがあります。
その中で「明らかに他と比べて音が太い!」と感じたのがBELDENの「8412」です。
フォン完成品は赤ケーブル採用品がサウンドハウスに無い
残念ながら、BELDENの赤ケーブル芯線を使ったフォン-フォンケーブルはサウンドハウスに取扱製品がありません。
入手する場合はフォンプラグとケーブル線を購入し、自作するしかありません。
マイクケーブル完成品はEC-8412シリーズ
ケーブル自作なら8412 REDの切り売り
赤ケーブルを用意する以外の識別方法
ケーブルを赤にするメリットはわかったけど、
- ハードルが高い
- 面倒
- 見た目が派手になりすぎる
という場合は別の方法もあります。
また「赤ケーブルを作っていないメーカーのケーブル線を使いたい」場合にも使えます。
コネクタ部でさりげなく色分けする
XLRコネクタのカラーリング(Color Ring)を赤にする
オーディオコネクタの世界的定番メーカー、NEUTRIKのXLRコネクタには「カラーリング」と呼ばれる輪っかのパーツがあります。
通常は黒で目立たないパーツですが、その部分の交換パーツがあり、色分けができます。
もちろん赤色もあります。
主張しすぎず、さり気なく識別できるのでケーブルを派手にしたくない人にもおすすめです。
次に紹介するカラーブッシングでも色分けはできますが、XLRコネクタの構造上、はんだ付けされた部分を一度分解しなければ交換できないため、かなり手間が増えます。
こちらのカラーリングは手分解のみで交換でき、手軽な点がおすすめできます。
XLRコネクタのブッシングを赤にする
XLRコネクタのブッシング部分も色分け交換品があります。
R側のコネクタ部分に赤いテープを貼る
目的にもよりますが、一番おすすめは養生テープです。
ビニールテープやガムテープも使われることが多いですが、剥がしたあとの糊のベタベタが養生テープよりひどいです。
ライブなどで一時的に使う場合は上記のような赤の養生テープがおすすめです。
まとめ
今回の記事では「赤ケーブルを利用することのメリット」について解説しました!
要点をまとめると
- 黒ケーブルと併用することで識別し、ミスや確認漏れを防げる
- 最も基本で効果的な使い方はステレオLRのR側
- 買うならサウンドハウスがおすすめ
- メーカーで迷ったら信頼性絶大のCANAREかBELDEN
- 識別はカラーリングやテープでもできる
こんな感じでした!
今回の記事は以上です。
お役に立てれば幸いです。
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